VIRGIN DUCATI | デスモセディチRR DUCATI購入ガイド

デスモセディチRR

  • 掲載日/2010年10月07日【DUCATI購入ガイド】
  • 写真/Toru Hasegawa, DUCATI CORSE
デスモセディチRRの画像

Desmosedici RR

世界でただこのモデルだけ
MotoGPレプリカの真髄

デスモとはドゥカティのアイデンティティのひとつともいえる『デスモドロミック』、強制開閉機構を持つバルブを指し、セディチとは『16』を意味するイタリア語だ。つまり、1気筒あたり4バルブ×4気筒=強制開閉16バルブを意味しており、デスモセディチという車名は性能そのものを語っている(車名表記が"D16RR"と略されるのはこのためである)。これは2003年にドゥカティがMotoGPへ送り込んだ、水冷L型4気筒エンジンを搭載する最強のレーシングドゥカティのことでもある。それまでの長い歴史をL型2気筒で勝負してきたドゥカティだけに、バイクファンはもちろんのことレース関係者もデスモセディチの登場には驚かされた。それだけではない。デビューレースとなる03年MotoGP開幕戦の日本GPにおいて、ロリス・カピロッシが駆るデスモセディチはいきなり3位表彰台を、トロイ・ベイリスは5位に入賞する実力を示し、世界中のドゥカティスタを大喜びさせたのだ。世界最高峰レースの舞台で勝利を手にすることで進化を遂げてきたドゥカティが、満を持して作り上げた水冷L型4気筒エンジンを搭載するレーシングマシン、それがデスモセディチなのである。

ドゥカティラインアップでの位置づけ

WSBK(スーパーバイク世界選手権)を戦うドゥカティは、そのフルレプリカともいえるレーシングスペックモデルをこれまでに多く発表してきた。それだけに、MotoGPを戦うデスモセディチについても「レプリカが市販される」という希望が噂となり、デビューイヤーが終盤に向かうにつれて世界中のファンの間で期待以上の確信をもって囁かれるようになる。その翌年には、ドゥカティのファンイベントであるWDW(World Ducati Week)にて、その噂が真実であることが正式発表され、初披露となったデスモセディチRRは開発ライダーのグレアスキによるデモランでその真価を明らかにしたのだ。そして、夢が現実となることに世界中のドゥカティファンが垂涎の思いで過ごすこと4年を経た08年に、1500台限定、5万ユーロという価格で『DESMOSEDICI RR』の販売が開始されたのである(日本での販売価格は866万2500円)。

市販されたデスモセディチRRは瞬く間に予約が埋まり、1500台はあっという間に世界中に渡っていった。10年7月9日届出のリコール情報によれば、日本での輸入台数は84台となっている。

デスモセディチRRの画像
複雑な曲面で構成されるデスモセディチRRのカウリングは、超高速域での整流効果を狙ったものであることは当然だが、その美しさも注目したいポイントだ。カウルはすべて軽量かつ強度の高いカーボン製。

デスモセディチRRの車体構成

デスモセディチRRは、06年のMotoGPを戦った『GP6』がベースとなっている。これはMotoGPレギュレーションで排気量が990ccとされていた最後の年であり、なおかつドゥカティが年間優勝を決めた年でもある。つまり、デスモセディチRRは最高にして最強であり最速のドゥカティレーサーレプリカなのだ。

伝統のトレリスフレームはハイブリッドとなっており、エンジン自体が強度メンバーになっているためトレリス部も小さく、軽量だ。リアフレームはカーボン製で、やはり軽量化に貢献している。200hpを発生する水冷L型4気筒エンジンにはレーシングスペックのパーツが数多く組み込まれ、他のモデルとは異なる生産ラインと選抜されたスタッフによって組み立てられるという手の込みようである。サスペンションは定番のオーリンズ製だが、デスモセディチ専用に開発された倒立フォークを装備する。ブリヂストンが開発したタイヤもやはり専用品、GP6同様のスポークデザインを持つマルケジーニ製鍛造マグネシウムホイール、やはりGP6譲りのブレンボ製モノブロックキャリパー(GP6のウェットレースセットアップと同等)とデスモセディチRRのみが持つスペシャルパーツがふんだんに装備される。

公道仕様として販売されたデスモセディチRRには、102dBのレーシングエキゾースト、専用CPU、バイクカバー、パドックスタンドを含むスペシャルレースキットが付属された。また、レギュレーションの厳しい日本では最高出力が61hpに制限されたが、これはサーキット仕様にすることでフルパワー化できる(公道走行不可)。車体カラーはグランプリレッドを基調にし、テールセクションのナンバーエリアをホワイトにペイントした「ROSSO GP」と、グランプリレッドを基調に、MotoGP マシン同様にフェアリングにワイドなホワイトストライプをペイントした「TEAM」の2パターンが用意された。

デスモセディチRRの画像
ツインで名をあげたドゥカティだが、1950年代に並列やV型の4気筒エンジンの設計図が作られた経緯があり、このエンジンはエンジニアたちの積年の夢を実現させたものでもあるのだ。
デスモセディチRRの画像
FG353と呼ばれるサスペンションは専用開発されたもので、窒素ガスを封入したリザーバータンクが装備される。ちなみにマルケジーニ製鍛造ホイールは前後で約200万円! それだけでバイク一台分もの価値がある。
デスモセディチRRの画像
長く設定されたスイングアームは鍛造アルミ、鋳造アルミ、プレスシートアルミを組み合わせたハイブリッドアルミだ。リアタイヤは16インチとなっており、ブリヂストン製特注タイヤが装着される。
デスモセディチRRの画像
メーターなどをマウントするステーもカーボン製で軽量化を図っている。高剛性と軽量化に対する貪欲さはすべての部位に見られるドゥカティのスピリットであり、デスモセディチRRの存在理由のひとつでもある。
デスモセディチRRの画像
『コルセダッシュボード』と名づけられたコックピット周辺は、デスモセディチRRが公道走行できる市販車であることを思い出させてくれる。超軽量マルチ液晶メーターにはラップタイム計測機能も備える。
デスモセディチRRの画像
センターアップマフラーはシートカウル内にあり、公道レギュレーションにあわせてエンド部のみが露出する。排気システムも公道にあわせてGP6から変更されており、4-2-1と集合させた後に2本に分配される。
デスモセディチRRの画像
トップブリッジには限定車であることを示すシリアルナンバープレートがつけられている。世界でたった1500台だけ作られた芸術品であり、オートバイ史上もっとも刺激的なスポーツバイクである。

新車と中古市場

日本での新車価格は866万2500円と破格だったが、これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれだろう。とはいうものの、1500台限定モデルにつきすでに生産は行われていないため、これからの入手はすべて中古車両になる。しかし正規ディーラーの在庫に新車が眠っていることもあるので、どうしても新車で購入したいと考えるなら正規ディーラーに問い合わせるのが近道だろう。

中古市場で流通している台数は決して多くはないが、価格は700万円を下回っているのが現状で、プレミアは加算されていない。今後生産されない台数限定モデルだけに、今後の個体数は減っていく一方であることを考えると、約100万円ほど安くなっている今は買い時といえるかもしれない。

※中古市場などの情報については、2010年9月現在のものです

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価格・スペック

記載の車両情報や価格表記はメーカー発表当時のものです。
最新の車両情報に関してはメーカー公式サイトをご確認ください。
スペック情報は万全な保証を致しかねます。実際に購入される場合はDUCATI正規ディーラーへお問い合わせください。
排気量
989cc
ボア×ストローク
86×42.56mm
最高出力
200hp/13,800rpm(欧州仕様)
最大トルク
11.8kgm/10,500rpm(欧州仕様)
トランスミッション
6速
圧縮比
13.5:1
キャスター角
23.5°/24.5°
全長
2,100mm
全高
1,100mm
シート高
830mm
ホイールベース
1,430mm
乾燥重量
171kg
燃料タンク容量
15リットル(内リザーブ4リットル)
エンジン形式
L 型4気筒 4バルブ デスモドロミック 水冷
燃料供給
マレリ製電子制御燃料噴射 50mmスロットルボディ
クラッチ形式
乾式多板スリッパークラッチ 油圧式
フレーム形式
鋼管ハイブリッドトレリスフレーム(ALS450)、カーボンファイバー製シートフレーム
フロントサスペンション
オーリンズ製 FG353P 43mm TiNコートフルアジャスタブル倒立フォーク
リアサスペンション
オーリンズ製モノショック リバウンド・低速/高速コンプレッションダンピング・油圧プリロードアジャスト
フロントブレーキ
330mmセミフローティングダブルディスク ブレンボ製4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパー
リアブレーキ
240mmディスク 2ピストンキャリパー
価格
866万2500円(2007年当時の新車価格)

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