スーパーバイク999/999S DUCATI購入ガイド

Superbike 999 / 999 S

今のドゥカティに繋がる
革新技術の集大成

ドゥカティのフラッグシップであるスーパーバイクシリーズは、常にその時代の最先端技術を投入されてきた。それは初代モデルがデビューした1980年代から変わることなく、2009年の最新モデルであるスーパーバイク1198も同様だ。今回紹介するスーパーバイク999（以下999）は、最新モデルに繋がる方向性の転換が行われたモデルであり、今のラインナップを語る上で外せない存在。一昔前のドゥカティ、なかでもスーパーバイクはレーシングマシンとしての性格が強く、非常にサーキット寄りの性格だったが、この999から「ストリートでも楽しめる」スーパーバイクへと変貌した。アイドリングのまま走り出せそうなほどの低速トルクがあり、それでいて6000回転から上の強烈なパワーを両立。これまでのように「交差点一つ曲がるにも半クラッチがいる」といった低い速度域での扱い難さを解消しながら、スーパーバイクらしいハイパワーを楽しめるようになっている。また、ライディングポジションも、前モデルまでと比較して上体が起きた姿勢になり、ハンドル位置もライダーに負担が少ないように改善。レーシングマシン的なポジションを強いられないため、長時間走行を行っても疲労しにくくなったのも大きな変化だ。

ルックスにおいても、これまでスーパーバイクの象徴だった横2灯の薄型ヘッドライトを廃し、縦2灯のプロジェクターライトを採用することでイメージを一新。999が新しいフラッグシップであることを印象づけている。デビューしてから既に5年以上経つモデルだが、今もって鮮烈なスタイルと、高いレベルの走りを併せ持つ、価値ある1台と言えるだろう。

今までにない「乗り易さ」を持つスーパーバイク、999シリーズ。これ以降のドゥカティに大きな影響を与えたエポックメイキングな1台だ。

大胆に肉抜き加工されたトップブリッジが目を引く。メーターはタコメーターを中央に配置した個性的なデザインで、速度をはじめとした車両情報は下の液晶ディスプレイに表示される。

一時代を築いたドゥカティの名デザイナー、ピエール･テルブランチによる個性的なスタイルが魅力的。縦2灯のプロジェクターライトには現行モデルと違う迫力がある。ウインカーはミラー埋め込み式。

先代モデルであるスーパーバイク998からテスタストレッタエンジンを受け継いでいる。マレリ製のEFIによってマネジメントされており、全域にわたって良好なレスポンスを実現している。

値頃感のある在庫多し
今こそ手に入れるチャンス

初代モデルが2003年に発売された999は、価格的にちょうど今が買い頃の車種。スタンダードモデルが中古価格でおおよそ100万円前後となっており、新車時を考えると半分以下のプライスタグがつけられている。場合によっては販売期間が短かったスーパーバイク998の方が高い場合もあるほどだ。現状では比較的手を出しやすい価格の上質な車両も豊富だが、サーキット走行などハードな使われ方をする可能性が高いだけに、前オーナーがどのような使い方をしていたか、確認しておくに越したことは無いだろう。また、カスタム済みの車両も多く、場合によっては競技用部品を装着している場合もあるほど。もしクローズドコースでの走行を考えている場合は、かなりお得なモデルと言える。なお、999のバリエーションとしてラジアルマウントキャリパーと前後オーリンズ製サスペンションを装着した999Sが設定されており、こちらはおおよそ50万円前後高くなる。装備内容を考えると最上位モデルのRに近いものがあり、新車価格で252万円だったことを考えると割安だ。

なお、受注生産されていた999Rはスーパーバイクのホモロゲーションモデル。エンジンをはじめ、外装など各パーツは当時最高のものがおごられている。約400万円だったあこがれの1台も、中古なら250～300万円で入手可能。スタンダードからRまでほどよい価格で上質な在庫が多く、今が999シリーズを手に入れるチャンスと言えるだろう。