VIRGIN DUCATI | ドゥカティ モンスター696 試乗インプレッション

モンスター696の画像
DUCATI Monster 696

ドゥカティ モンスター696

  • 掲載日/2008年10月27日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

ネイキッドモデルの代名詞
“モンスター”のモデルチェンジ型

フルカウルで武装したスポーツモデルと、それに対するネイキッドモデルの存在。ドゥカティというメーカーは、1993年のモンスターM900登場以来、そのラインナップの両立を図ってきた。誕生から15年、モンスターという存在は単なるネイキッドという括りを超えた価値を持つネーミングに成長し、世界中のユーザーに圧倒的支持を受けている。あくまでスポーツ走行に特化した存在であるドゥカティのフラッグシップたちの陰で、モンスターというブランドは、すでに独自の価値を持つものになっているのだ。初期型のM900に搭載されていたパワーユニットは空冷SOHCのLツイン。その後、排気量だけでなく空冷・水冷とバリエーションを増やしていったモンスターだが、今回の新作M696に搭載されるエンジンは原点に帰る空冷SOHC。しかし車体はベースマシンのないニューモンスター・オリジナルのもの。強いて言えば、そのフレームワークはmotoGPマシン・デスモセディチのものをモンスター向けにモディファイしたもので、このあたりにもドゥカティというメーカーがこのマシンにかける意気込みが感じられる。

モンスター696の特徴

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新しさの中に確実に残る
モンスターらしさ

ボリューム感のあるフューエルタンクと、コンパクトにまとめられたテールまわりのデザインは、初期型モンスターから続く血統のようなもの。ニューモデルでは、そこに新しさをプラスしつつイメージを崩さずに「モンスターらしいスタイル」を完成させている。もともと完成されたネイキッドスタイルを持つモンスターに加えられたデザイン変更は、好き嫌いが分かれるものかもしれない。しかし、「固定されたイメージがあるマシンの、新しい見た目とデザイン」に対しては、好き嫌いが分かれるのが当たり前。それだけ期待が高いモデルであるということの証明でもある。

今回試乗したマシンはビキニカウルとシングルシートカバーのオプションを装着した696+(プラス)というグレードで、スタンダードに対し4万2000円高の104万円。ビキニカウルと言うよりはメーターバイザーと呼びたくなるコンパクトさだが、上体をタンクに伏せてみると、その効果は明らかに感じられた。ライトユニットはカバーによって上下に3分割されており、従来のモンスターのイメージを大きく変えるもの。これがやや低めにマウントされていることも、デザイン上の大きなポイントのようだ。

モンスターの、というよりもドゥカティのアイデンティティであるトレリスフレームとアルミ製のサブフレームを組み合わせたことや、エンジン前側シリンダーのエキパイの取り回しなどは、これまでのモンスターになかった新しい試み。これらがどんな乗り味を演出してくれるのか、気になるところだ。

モンスター696の試乗インプレッション

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コンパクトで軽量。
見た目のままの、乗りやすさ

跨ってみて最初に感じたのは、足着きのよさと非常にコンパクトなポジション。暖機運転しつつハンドルに手を添えてみると、やや遠いような感じはあるものの、自然にタンクをホールドできる体勢になる。しかし走り出してみると、そのポジションに違和感を覚え始めている自分に気付く。シートの傾斜がきつく、自然とシートの最前部に座ることになってしまうのだ。しかし乗り慣れてくると、そのポジションが落ち着くようになってくる。前に座った方が足着きもいいから、ストップ&ゴーが頻繁な街中では安心にもつながり、コンパクトな車体の恩恵を感じやすくなるのだ。

ストップ&ゴーといえばブレーキ。こちらはカツンとこないフィーリングが印象的で、ジワジワと制動力がわき出てくる感じ。ラジアルマスターではなく、一般的な一体式マスターを採用している点が、ブレーキのマイルドさというメリットに感じられるとともに、ニューモンスターというマシンのコンセプトの一端が見える。つまり、スーパースポーツモデルのような、エッジの立ったシャープさではなく、あくまでネイキッドとして「楽しめるスポーツ性」を求めたコンセプトだ。

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同じことが、エンジンにも言える。フィーリングとしては、“モンスター”と呼ぶほどの獰猛さがなく、このクラスのパワーとしてはやさしいもの。しかし、ツインエンジンらしい路面を蹴るフィーリングが色濃くて気持ちいい。レスポンスも、いい意味でのダルさを持っており、ギクシャクしない。ほどよいパワーとレスポンス、それらが車体の軽さとマッチすることで、安定感と軽快感のバランスがいい。安定感は度が過ぎると重さとして感じられるようになるし、軽快感も度が過ぎると不安を生む。そのバランスのよさこそが、ニューモンスターの真骨頂といえるのでは、と感じた。

こんな方にオススメ

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大型免許取りたてライダーにも
コダワリ深きベテランにも

サイドスタンド停止状態からの引き起こしや、取りまわしの時に感じられる絶対重量の軽さは、ビギナーや女性ライダーにも恩恵が大きいもの。加えて市街地での十分なパワー感や、クセのないハンドリングを加えて考えてみると、ドゥカティのエントリーモデルということになるだろう。しかしこれら完成度の高い要素は、ベテランライダーにこそ味わってほしいもの。ライダーを選ぶドゥカティ、ではないから、ドゥカティというブランドにのめり込んでいるわけではないライダーでも、触れてみる価値は十分にある。また、これまでのモンスターに対して「大好き」もしくは「大嫌い」という感情を持ったことのあるライダーにも乗ってほしい。「変わらないところ」と「変わったところ」の両方が、思わぬところで個人の嗜好に刺激を与えるかもしれないから。

総合評価

過剰な気合いは不要
毎日乗れるドゥカティ

ニューモンスターがモデルチェンジによって手に入れたのは、あらゆるライダーを受け入れてくれるコンパクトな車体。今までのモンスターでは足着きにやや不安が、と感じていたライダーは、ぜひともこのM696に跨ってみてほしいし、可能ならばLツインらしさを残しながらもやさしいエンジンフィールを味わってほしい。ドゥカティのフラッグシップであり、イメージリーダーでもあるスーパースポーツマシンたちは、すばらしいパフォーマンスを持つ一方で、ライダーにも一定のテンションを要求するキャラクターである。対してモンスターは、ネイキッドとしてのスポーティーさを追求しつつも、スーパースポーツにはない親しみやすさを併せ持っている。今までのモンスターのイメージにとらわれず、ドゥカティというブランドが持つスポーツ性への第一次接近遭遇を試みるなら、このマシンがベストだろう。

モンスター696の詳細写真

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伝統の空冷Lツインと
最新シャシーの組み合わせ

前モデル695からリファインが加わったエンジンは、パワー・トルクともに向上。駆動系にはAPTCクラッチを採用し、操作が軽くなっているだけでなく、シフトダウン時のバックトルクを適正に制限してくれる。
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ハンドルの切れ角が大幅アップ。
計算された設計とスタイル

デザイン上のアクセントともなっているタンク両サイドのエアダクト。ハンドルをフルロックすると、スイッチボックス部分がこの凹みに逃げることになる。しかし、ポジション変更がしにくいというデメリットも。
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単なるネイキッド、ではない
迫力のリアまわり

スーパースポーツイメージを強く感じさせるスイングアームと、新たにリンクレス式となったリアサス。ザックス製のユニットは左にややオフセットされる。大きめのステッププレートは空冷モンスターらしいデザイン。
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視認性のよい
フルデジタルメーター

スピード、タコともにデジタル式のメーターまわり。上画面のタコメーターは1万2000回転まで表示。下画面はトリップ、油温、速度計となっている。各種インジケーターも見やすい位置に配置されている。

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