VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモ 試乗インプレッション

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの画像
DUCATI Multistrada 1200 S Granturismo

ドゥカティ ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモ

  • 掲載日/2013年08月02日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  取材・写真・文/森清 貴史

ムルティストラーダが備えた
ツーリングモデルとしての能力をパワーアップ

ムルティストラーダシリーズは、2013年にフルモデルチェンジを受けた。外観にこそ大きな変更はないが、エンジンのツインプラグ化(テスタストレッタ11°DS)、ウィンドスクリーンの大型&ワンタッチ化、ヘッドライトの LED化など、シリーズを通して熟成がはかられている。また、スタンダード以外の上位3モデル(ムルティストラーダ1200Sツーリング、ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモ、ムルティストラーダ1200Sパイクスピーク)には、DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)と名付けられたセミアクティブサスペンションシステムが採用された。

その中でも新たに設定されたムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは、ツーリングモデルとしての使い勝手を磨いた追加仕様。48リットルのトップケース、左右で合計 73リットルに拡大したパニアケース、エンジンガード、LEDサブライト、大型ウィンドスクリーン、20mm 高いハンドル、コンフォートシート、専用タイヤを装備しているのが特徴だ。

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの特徴

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より多くの荷物を積んで
舗装路を長く走るための一台

2013年5月に国内販売開始となったこのムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは、先行で発売された ムルティストラーダ1200Sツーリング と基本的な部分を共有している。そのため、日本仕様で 105HP のパワー、116.6Nm のトルクを誇る排気量 1198.4cc のテスタストレッタ11°DS(デュアルスパーク)エンジン、ABS と DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)をセットにした DSP(ドゥカティ・セーフティ・パック)、「SPORT」「TOURING」「URBAN」「ENDURO」の4つの走行モード切り替え、そして DSS を組み合わせた走行性能は共通だ。ホイールも前後 17インチのまま変更はない。フロントに 19インチや 21インチのホイールを履く他メーカー製の大型マルチパーパスモデルとは異なり、あくまでも舗装路に軸足を置いていることがわかる。

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ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの最大の特徴は、何といってもその積載能力にある。まずその専用トップケースの 48リットルという容量は、一般的な旅行用キャリーバッグ(3泊程度用で 40~60リットル)並み。これに加えて、パニアケースも左右合計で 73リットルと、より大型化されており、すべてを合わせると 121リットルにもなる。58リットルのパニアケースを備えるムルティストラーダ1200Sツーリングに比べて容量2倍=乗員2倍、または期間2倍のツーリングが楽しめるというわけだ。

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの画像

ドゥカティのすべてのモデルに共通する武器は「軽さ」だ。その小さなフレームとエンジンを踏襲するムルティストラーダシリーズも同クラスの他メーカー製モデルと比べて車両重量が 20kg も軽い。いくら素晴らしいモデルであっても、重くて乗ることにおっくうになるようでは意味がない。ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは、フル装備ながら 245kg と軽量につくられており、気軽に乗れるモデルだといえる。

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの試乗インプレッション

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電子デバイスは自然に働き
3つのケースは必要に応じて使い分ける

排気量 1198.4cc の水冷L型2気筒エンジンはパワフルだ。それは「SPORT」モードはもちろん、出力が抑えられた「URBAN」と「ENDURO」の両モードでも変わらない。スロットル操作に対する車両の挙動が少し穏やかになったかな、くらいにパワーを制限している。また、モードを切り替えると DSS の基本設定も変更されるのだが、これもあまりに自然なため、一般道や高速道路ではその違いに気付きづらい。ただし、加速時や減速時にはこのセミアクティブサスペンションの働きを実感する。特に、強くブレーキをかけたときにフロントフォークが突っ張ることで、前方に沈み込まずに安定して止まれるのだ。

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの画像

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは、大型マルチパーパスモデルのアドベンチャー系に属しながらも、前後に 17インチホイール&ロード寄りのタイヤを採用している。それゆえ、オンロードモデルに乗っていた人でも違和感なく乗り換えられる。その一方で、フロントのホイール径が小さいために、未舗装路では不安定になりがち。それをうまく補ってくれるのがトラクション・コントロールだ。ここではライダーが無理な動作をしなければ、何も起こらないといった感じだった。

ただ、気になる点もある。パニアケースが大型化されたことによって、街乗りに気を使わなければならなくなったのだ。ムルティストラーダ1200Sツーリングの全幅が 985mm なのに対し、ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは 1,090mm。片側で5cm以上も張り出しが大きくなるため、狭いところを走る場合には周囲に接触しないように注意が必要だ。

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その積載力にまかせて多くの荷物を積んでしまうのも要注意。トップケースもパニアケースも車両の重心から離れた位置にあるので、荷物の重さがハンドリングに影響してしまう。今回、撮影に必要なカメラや三脚など、たくさんの機材をこれら3つのケースに分けて入れて移動したが、直線を走るだけでも安定性を欠き、交差点などで車体を傾けた際にはそのまま倒れそうになった。逆に、ケースをすべて取り外して走行した場合には、当然ながらとても軽快に走ることができた。そしてここで気が付く。ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモは、トップケースとパニアケースを標準装備しているということも魅力だが、必要に応じそれらを脱着して使い分けられることもそれ以上に魅力なのだと。

プロフェッショナル・コメント

ドゥカティジャパン主催のディーラー研修会で
ムルティストラーダの優れた ABS を体感

実際に車両を販売するにあたってユーザーに正しく情報提供できるようにと、ドゥカティジャパンは定期的に全国のドゥカティディーラーを対象に研修会を行っています。先日行われた研修は ABS を体感するというもので、私も参加してきました。砂を撒いた路面でフルブレーキをかけるという項目に挑戦しましたが、その安定感と制動距離の短さには驚かされました。世界中のメーカーが採用する BOSH製 ABSシステムの中でも、ドゥカティにはより性能の高い製品が使われており、特にムルティストラーダシリーズにはトップグレードのものが採用されています。ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモに備わった 73L のサイドパニアやトップケースに荷物を満載しての走行でも、これなら不安なくブレーキがかけられますね。

また個人的にも、私たち夫婦でタンデムツーリングに行くことがありますが、このグランツーリズモの乗り心地はドゥカティの中でも最高レベルです。カタログで見たときはジャマかなと思ったエンジンガード&フォグランプも、実際には出っ張っておらずすっきりとしています。グレーの車体に、コルセマークやシートのステッチ、ロゴ、ホイールのリムテープなど随所に赤が効いていて高級感がありますので、ぜひ実車を見に来てください。(ドゥカティ札幌 ストアマネージャー 砂田 剣一さん/アパレルマネージャー 砂田 聡子さん)

取材協力
住所/北海道札幌市清田区美しが丘1条4-1-1
Tel/011-883-8000
営業/10:00~19:00
定休/水曜

ムルティストラーダ1200Sグランツーリズモの詳細写真

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従来モデルから大型化されたウィンドスクリーンをさらに延長。スモークカラーになっているのも特徴だ。
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ドゥカティの先進性の一端を表す LED ロービームは、2013年のムルティストラーダシリーズに共通の装備。
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実用性もさることながら、見た目が冒険の雰囲気を盛り上げる LED サブライトは、“GT” だけの装備だ。
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ウィンカーは従来も LED だったが、2013年のムルティストラーダにはハザードランプが新設されている。
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シュラウド状のサイドカウルには “GRANTURISMO” のロゴが入る。ワンポイントのアクセントだ。
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アドベンチャー系モデルにお決まりのエンジンガードは、どちらかといえばラジエターを守る位置に装着される。
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他のムルティストラーダシリーズと同様に、ツインプラグ化されたテスタストレッタ11°DS エンジンを搭載。
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日本仕様の最高出力は 105HP (77.2kW) 、最大トルクは 116.6Nm (11.9kgm)と、十分なパワーを備えている。
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マフラーがコンパクトで張り出しが少ないこと、パニアケースを装備するモデルにとってはこれも重要な要素だ。
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赤いステッチの入ったコンフォートシートが装備される。乗り心地、足つきともに良好だ。
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シート下には、ETC 車載器を設置してもまだまだ余りあるスペースを持つ。ケースなしで走りたいときにも便利だ。
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2013年モデルのムルティストラーダシリーズは、車名のロゴが立体エンブレムになり、ちょっと高級感が増した。
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この GT を含む上位モデルには DSS (ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)が装備されている。
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DES (ドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション)の発展版で、セッティングを変化させながら走行する。
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ABS と DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)をセットにした DSP(ドゥカティ・セーフティ・パック)は共通の装備。
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リアサスペンションももちろん、セミアクティブ。段差だけでなく、加減速時にも姿勢の安定に貢献する。
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ドゥカティといえば、片持ちスイングアーム。スイングアームがアルミなのも定番パッケージだ。
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ホイールリムには赤いリムラインが入る。モノトーン系ボディカラーに対し、各所の “赤” がよく映える。
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最大の特徴ともいえるトップケースの容量は 48 リットル。タンデムライダー用のバックレストも兼ねている。
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ケースの開閉は、リモコンキーに内臓される機械式のキーを使う。1つのキーで事足りるのは標準装備ならでは。
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左右合計で 73リットルのパニアケースは、車体からの張り出しが大きい。ただ、それ以上にこの容量は魅力的だ。
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パニアケースも同じキーで開閉する。また、インナーバッグも付属するため、防水・防塵性は非常に高い。
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ムルティストラーダ1200Sツーリングとこのグランツーリズモにはセンタースタンドが備わっている。
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センタースタンドがあっても重くてかけられなければ意味がないが、専用のグリップも装備されるので、操作は軽い。
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もはやツーリングモデルの必需品となった電源ソケットは、ヘラータイプを2個装備。1個目は車体右側にある。
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2個目の電源ソケットは左側。どちらも、ソロでもタンデムでも使いやすい位置に付いており、使い勝手は良好だ。
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メインディスプレイには速度など基本の情報が、サブにはモード切り替えや燃費、グリップヒーターが表示される。
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ピンチ式スクリーンは、目立つ改良ではないが、非常に便利になった機能の一つ。グローブをしたままでも操作できる。
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右カウル内側にある小物入れもプッシュ式に改められた。ただ、もう少し大きければ、手が入りやすいのだが……。

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