VIRGIN DUCATI | 第18回 続 新型が出ても頑張るゾ! それでもムルティを買いました!

第18回 続 新型が出ても頑張るゾ!

  • 掲載日/2010年09月17日【それでもムルティを買いました!】
  • 取材協力/ドゥカティ横浜
ムルティストラーダの画像

旧型には旧型の良いところも!

どうなんだ? 新型ムルティ!
北海道ロケで感じたアレコレ

前回からの続き、新型ムルティに関するアレやコレやの後半をご報告します。下のWEB用動画の撮影をするために北海道に乗り込んだ我々。1泊2日の日程(撮影は実質9時間程度)で北海道は支笏湖周辺を走り回り、新型のウリである4つのモードを駆使した走行シーンを撮影するという強行軍をこなしつつ、たっぷりと新型を試乗。今回はスポーツモードとエンデューロモードに関してのレポートです。

アップライトなポジションで
実質的に速い新型ムルティ

さてさて、高速道路でツーリングモードの撮影を終えた我々は、一路支笏湖畔を目指して快走。途中にちょっとしたワインディングを見つけたので、そこでいよいよスポーツモードの撮影をすることにしました。オンボードカメラなどのセッティングを終らせスタート。北海道のワインディングということで、右手も「パカっ」って感じで開けたのですが…。まー、速いこと速いこと。サスはダンパーがギュッと締まった感じとなり、エンジンはドゥカティのLツインそのものという元気さ。日本向けにディチューンされているビハインドはほとんど感じさせません。また、扱いやすいハンドリングも秀逸。見ての通り、ムルティストラーダはいわゆる「脚長モデル」なわけですが、それゆえライダーのちょっとした体重移動でラクに操縦できる。

ムルティストラーダの画像

消音されているものの、良い音を奏でてくれるマフラー。楽しめる音質なので、物足りないという印象はない。

前傾姿勢が強いモデルはフロントの荷重がどうだとか、ブレーキングがどうだとか、いろいろ難しいことを考えながら走らさなくてはなりませんが、新型ムルティならそういうことは全く関係なく楽しめてしまうのです。もちろん、そうしたテクニック的なことを追求しながら走れば、より速く走行することが可能ですが、そうしなくても十分に速い。荷重の移動に対して素直に車体が反応してくれるので、ノーブレーキでクリアできてしまうコーナーも結構多いのです。また、低回転から十分なトルクが立ち上がるので脱出もスピーディ。こうしたキャラクターはちょっとBMWのGSに似ていますが、それでもシャープさは新型ムルティの方が数段上だと感じました。ツアラー的なバイクではありますが、さすがドゥカティ、飛ばすことの楽しさを忘れちゃいませんね。もちろんブレーキ性能も余裕たっぷりという印象でした。まあ、ここはドゥカティの得意分野なんでね…。

ムルティストラーダの画像
ワインディングにもピッタリとフィットするタンク周辺のデザイン。このあたりはやはり手馴れているドゥカティ。
ムルティストラーダの画像
4つのモードを切り変えるのは主にウインカーキャンセルスイッチを使用。慣れるまで戸惑うことも…。
ムルティストラーダの画像
前後サスは接続されたアクチュエーターによってモードと連動して自動調整される。ほとんど作動音もしない。

狭いオフをガンガン進む!!
やはり軽さは最大の武器

さ~て、スポーツモードの撮影を終えたなら、私が非常に楽しみにしていたエンデューロモードの撮影です。ブリーフィングでは「オフロードもかなり行けちゃいます」という説明だったのですが、「まあ、そうは言っても楽しく走れるのはフラットダート限定でしょ」とタカをくくっていたのですが…。ああ、原稿書いているうちに興奮してきた…。はっきり言ってしまいましょう。新型ムルティ、オフロードもガンガン行けちゃいます。まずはフラットダート。上の動画でも映っていますが、アクセルを開けていても時折砂煙が途切れているのがお分かりになりますか? これ、トラクションコントロールが効いている瞬間です。一瞬リアタイヤが滑ったような感触があるのですが、慣れるとタイヤのグリップが瞬時に復帰しているのが分かります。フラットダートの高速走行では実に使えるトラクションコントロールです。

ムルティストラーダの画像

オンロード向けの前後ブレーキだが、意外にもオフで使いやすい。ローターをヒットさせない配慮は必要だが…。

そして、圧巻なのが本格的なオフロードです。これまた動画に映っていますね。映像ではほんの数秒にカットされていますが、実はこの草が身体にあたるほどの林道はずーっと続いており、私も調子にのって奥へ奥へと進んでいってしまったのです。エンデューロモードでは前後足回りが非常にソフトに調整されストロークも目一杯使われるので、大小のギャップも簡単に乗り越えてくれるもので…。オンロードに照準をあ合わせたブレーキも予想以上に使い易く、並のビッグオフよりも新型ムルティの方が走破性は格段に高いと感じたぐらいです。で、調子に乗りすぎた私、とうとうドンツキでUターンしなくてはならないハメに…。ところが、ここからがまた素晴らしい。私がハマッた林道、道幅が狭い上に左右の轍が深く、ビッグオフがもっとも苦手とするパターン。心のなかで「あぁぁぁ、やってしまった」と後悔しつつ、ハンドルを左右に切り替えしながら脱出を試みると…いとも簡単に抜け出せてしまったのでした。BMWのGSならこうはいかなかったはず。BMWのR1200GSはスタンダードでも229kg(走行可能状態)、アドベンチャーなら259kgもの重量がある。それに対して新型ムルティは192kg(乾燥)。恐らく走行可能状態でも20kg程度の重量差があるはず。これが狭いオフロードでどれほどのアドバンテージとなることか。このことをきっかけに私はグッと新型ムルティのファンになったのでありました。

とは言うものの、この試乗を通して我が旧型ムルティの面白さが浮き彫りになったのも事実。シャープな吹け上がりと鋭いハンドリング。こればかりは、旧型の方が私にとっては面白い。新型が出た今、旧型ムルティはより値段がこなれてお得感倍増。新型もいいですけど、旧型も如何でしょう?皆さん?

ムルティストラーダの画像
シート形状とポジションはオフロードでも違和感がない。腰を引いたライディングフォームも許容するデザイン。
ムルティストラーダの画像
LED式のウインカーを内蔵したナックルガード。洒落た装備品だがオフロードで倒すと高くつきそうだ。
ムルティストラーダの画像
フラットダートならかなりのペースで走れる。狭い林道でも軽量な車体が強力な武器となる新型ムルティ。
ムルティストラーダの画像

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