【ドゥカティ 新型モンスター 海外試乗記】伝統を受け継ぎつつ“最も乗りやすいドゥカティ”へと深化
- 掲載日/2026年03月23日【試乗インプレッション】
- 取材協力・写真/ドゥカティ ジャパン 取材・文/佐川 健太郎

モンスター 特徴
新型ドゥカティV2エンジンを得て
現代的にリファイン
1992年の登場以来、「必要なものだけを残す」という哲学でネイキッドの概念を塗り替えてきたドゥカティ・モンスター。初代は瞬く間にライダーの心を掴み、世界中に“モンステリスティ”と呼ばれる熱狂的なファンを生み出した。その後2バルブからデスモクアトロ、テスタストレッタへとコアとなるエンジンを変更しながら、常に“らしさ”を失わずに進化を続けてきたのがこのモデルだ。
そして登場した新型は、その伝統を現代の技術で再構築した一台。軽量・コンパクトなパッケージに最新テクノロジーを凝縮し、初代のシンプルな美学を今の時代にフィットさせている。

特徴的な“バイソンバック”タンクはよりスリムかつ筋肉質に再設計され、短く引き締められたテールや一体感のあるシングルシートとともに、ネイキッドらしい凝縮感を強調。フルLEDヘッドライトはダブル『C』デザインのデイタイミング・ランニング・ライトを採用し、モダンかつ精悍な表情を作り出す。
心臓部には新型パニガーレV2系の新型ドゥカティVツインエンジンを搭載。吸気可変タイミング機構IVTを備え、9000rpmで111psを発揮する高性能ユニットだ。4000〜10000rpmの広いレンジで最大トルクの80%以上を発生し、低速の扱いやすさから高回転の伸びまでを一気につなぐ。しかもバルブクリアランス点検は4万5000kmと耐久性にも優れる。

シャシーはエンジンも強度メンバーとするモノコック構造を採用し、前後サスはSHOWA製。車重は175kgと軽量で、俊敏さと安定性を高次元で両立。また、ブレンボ製ブレーキやピレリ・ディアブロロッソIVタイヤの組み合わせにより、街乗りからスポーツライディングまで安心感の高いコントロール性を実現した。さらに4つのライディングモードと充実した電子制御が、あらゆるシーンで最適な走りをサポート。5インチTFTディスプレイや直感的な操作系も備え、扱いやすさと先進性を両立している。
軽さ、楽しさ、そしてドゥカティらしい個性。そのすべてを磨き上げた新型モンスターは、原点回帰と進化を同時に体現する、現代のネイキッドスポーツとして生まれ変わったのだ。
モンスター 試乗インプレッション
構えなくても
考える前に動いてくれる

新型モンスターに乗ってまず感じたのは、「バイクを操っている」という感覚が薄いことだった。もちろん操作しているのは自分なのだが、その意識が前に出てこない。気づけば自然に走り出し、気負いもなくコーナーを抜けている。まるで長く付き合ってきた相棒のように、こちらの意図を先回りしてくるような感覚だ。

従来のモンスターは、もう少し“主張”の強い存在だった。エンジンの鼓動も、ハンドリングも、どこかでライダーに働きかけてくる。それに応えることでリズムが生まれる、そんな関係性だ。しかし今回の新型は違う。主張は確かにあるのに、それを前面に押し出さない。あくまでライダーのペースに寄り添い、自然な流れの中で性能がにじみ出てくる。
市街地を流していると、その意味がよく分かる。信号のストップ&ゴーや交差点のターンでも、操作に対する“構え”がいらない。次の動きを考える前に、すでに車体が応じている。結果としてライダーは余計な情報処理から解放され、視線やリズムといった本質的な部分に集中できるのだ。

その背景には、身体とのフィット感の良さもある。ハンドルとステップの位置関係は無理がなく、シートに腰を下ろした瞬間から自然にライディングポジションが決まる。そして日本向けには、標準のシート高815mmに対し、最大で40mm低くなるローシート&ローサスペンション仕様(775mm)が用意されている点も見逃せない。足着きの安心感が増すことで、さらに“構え”はいらなくなり、より多くのライダーにこの自然な乗り味が開かれていると感じた。
“速く走らせる”から、
“一緒に走る”へ

この感覚は郊外のワインディングでさらに研ぎ澄まされる。コーナーに進入し、わずかにラインを修正する。そんな何気ない操作に対しても、当て舵やステップ入力などの引き出しを開けることなく、しかし確実にライダーの意図を汲み取ってバイクが反応してくれる。だから走りが途切れない。操作と挙動の間に“間”がなく、流れがずっと繋がっている。
エンジンも同様だ。今や「ドコドコ」と荒ぶることなく、スムーズな鼓動を刻む新型Vツインは、パワーを誇示するわけでも刺激で煽るわけでもない。それでいて必要なときには、きちんと背中を押してくる。この“ちょうどよさ”は数値では説明しにくいものだが、乗り手には心地よさとして伝わってくる。基本的にどの回転域からでも十分なトルクが取り出せる、現代的なキャラクターを持ったエンジンだ。

加えて、可変バルブIVTが起動する中速域からは、もう一段上乗せされたパワーとともにいきいきと躍動感のある加速が楽しめる。パニガーレV2の血筋を感じる瞬間だ。今回は残念ながら雨天での試乗だったが、コーナリング中でも必要に応じてABSとトラコンによって、車体の安定をサポートしてくれる最新の電子制御は本当に有難く心強いものだった。

走り終えたあとの余韻も他のドゥカティとはひと味違っていて、強烈な刺激や達成感とは異なった、むしろ「まだ走っていたい」と思わせる穏やかな満足感が残る。これはバイクが主役ではなく、ライダー主体でリードできる時間が長いからだろう。
新型モンスターは、スペックやカテゴリーで語ると本質を見誤るかもしれない。これは“速さ”や“軽さ”を競うバイクではなく、ライダーとの距離感を再定義した一台だ。操る喜びから、共に走る心地よさへ。その感覚こそが新型のいちばん大きな進化であり、深化なのだと思う。
モンスター 詳細写真












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