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スーパースポーツ900SS

  • 掲載日/2012年07月10日【カスタムDUCATI】
  • 記事提供/『DUCATI BIKES』Vol.06(2010.04.27発行)
スーパースポーツ900SSのカスタム画像

限界を引き出さずとも
真髄を味わえる一台

SS (スーパースポーツ) モデルの歴史は、1974年に登場した 750SS からはじまった。これは本当の意味での“スーパースポーツ”を体現したモデルだった。通称 イモラ・レプリカ というプロトタイプを市販化したそれは大ヒットし、翌1975年には 900SS もラインナップすることになる。

その後、大まかに分けると3世代 (ベベル、パンタ系、テルブランチ系) のあいだ続いたこの SS というイニシャルは、レースでの勝利をとことん目指したわけでもなく、根っからのビジネス戦略でもなく、ただ単にスポーツというだけでなく、まさに「スーパースポーツ」と呼ぶことしかできないモデルのことを指していた。と同時に、初代 SS は今日のドゥカティの礎となったモデルでもある。

そうした歴史を受け継ぐドゥカティの SS シリーズであるが、今回取り上げた 91~97年の空油冷エンジンを搭載する 900SS は、ハンドリング、パワー、デザインすべてが高次元でバランスした SS モデルの完成系といえる。いわば、ドゥカティが考えるスーパースポーツを理想的な形に仕上げたのが、空油冷エンジンを搭載する 900SS なのである。今でもそのバランスの良さに対するファンが世界中に数多く、ドゥカティらしさ、SS らしさの完成形といって差し支えない。

ちなみに、次期 SS である FI 化された SS900 (イニシャルが排気量の後ろから前になった) は、そのハンドリングがややグランドツーリング (GT) 的であり、900SS と比べると軽快なスポーツライディング性能に大きな陰りを見せた。ユーザーもそのあたりには敏感で、ハンドリングのみならず、デザイン的にも不評であった。

その証拠とも言えるのがアフターパーツの種類や数の豊富さだ。空油冷 900SS には数多くのアフターパーツやチューニングパーツが揃っていた。そして、それらのアフターパーツを組み込むことにより、走りが激変する。それも 900SS の、いや、ひいてはドゥカティそのものの魅力と言えるものだ。

現在、ドゥカティのモデルレンジに「スーパースポーツ」はラインナップされていない。この 900SS のように、ドゥカティバイクの軸となり、そのドゥカティらしさによって世界中のライダーを魅了するモデルが存在しないのは大問題だ。一般的なライダーであっても、限界を引き出さずとも、その走りを存分に楽しめ、ライディングに夢中になれるドゥカティ……。そんな 900SS を今一度見つめなおして欲しい。

スーパースポーツ900SSのカスタム画像

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904cc のLツインエンジンは、パンタ系エンジンをベースにエンジンハンガー部の強化やリブの追加など、クランクケースの剛性アップをメインにリファインし搭載されている。
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リアサスペンションはカンチレバー方式を採用。このモデルにはオーリンズ製のショックアブソーバーが装着されている。
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1991 年のマイナーチェンジ以降、この 1997 年の最終モデルまで、大幅な変更がなかったコックピット周り。ポジションはスポーツライディングに最適。
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シングルシートにあわせたテルミニョーニ製のアップタイプマフラーは、定番カスタム。900SS はすべてビポストモデルで 900SL がモノポストだった。
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ねじり剛性が高められたスイングアーム。このタイプのチェーンアジャスターは、ドゥカティLツインモデルで初採用。
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ボトム部に DUCATI のロゴがあしらわれたフロントフォークはショーワ製倒立。888ストラーダとも共通したデザインだ。

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