世界94カ国・11万人超が集結! 大熱狂!大興奮!! 【WDW2026現地レポート】
- 掲載日/2026年07月10日【トピックス】
- 取材協力/ドゥカティジャパン 写真・文/山下 剛

11万人が集った、ドゥカティだけの”夢の3日間”
1998年に第1回がはじまったWDW(WORLD DUCATI WEEK)は13回目を迎え、ドゥカティファンにとってはすっかり定着したイベントである。開催地はミサノ・サーキットで、ここはドゥカティ本社工場があるボローニャからクルマでおよそ2時間の距離だ。ドゥカティにとってはホームといえるサーキットで、2007年に同サーキットにおけるMotoGP初開催となったときにケーシー・ストーナーが優勝したことなどにちなんでいる。
気温40度を超える熱波に襲われ、大きな被害が出ていた西ヨーロッパだが、WDW開催直前に雨が降ってからは天候が落ち着き、期間中のミサノ・サーキットはおよそ30度の快晴。湿度の低いカラッとした暑さはさわやかではあるが、油断していると脱水症状になる暑さでもあるから水分補給は欠かせない。
だからこそ会場のあちこちには軽食と飲み物の売店があり、ミネラルウォーターやコーラといったソフトドリンクだけでなくビールや夏のイタリアの名物スプリッツなども人気だ。
WDWといえば、MotoGPとWSBK、さらにヨーロッパ各国の選手権で活躍するドゥカティ契約ライダーが集まって“本気の遊びレース”をする『レース・オブ・チャンピオンズ』がおなじみだ。今回もMotoGPからはマルク・マルケス、フランチェスコ・バニャイア、ミケーレ・ピッロ、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、フランコ・モルビデリ、WSBKからはニッコロ・ブレガ、アルバロ・バウティスタ、ヤリ・モンテッラ、ロレンツォ・バルダッサーリなどが集まり、イベント2日目に予選、3日目に決勝レースを行った。なお、優勝したのは今季のWSBKでもトップを独走しているニッコロ・ブレガだ。
さらに今年は、かつてドゥカティに勝利をもたらしたレジェンドライダーもやってきた。ケーシー・ストーナー、トロイ・ベイリス、カール・フォガティ、カルロス・チェカ、ロリス・カピロッシ、チャズ・デイビス、ルーベン・ザウス、レジス・ラコーニ、ミッシェル・ファブリツィオ、フランコ・ウンチーニ、ピエールフランチェスコ・キリと11名のライダーが集結。2日目夜のナイトショーでは彼らがパニガーレV4Sにまたがってステージに登場し、トークショーを繰り広げたのだ。
これだけのライダーを一堂に集められるのは、世界広しといえどもドゥカティだけだろうし、ドゥカティファンにとってだけでなく、レースファンにとっても非常に贅沢なひとときだ。11万8036人の来場者をカウントしたのもうなずける。なお、日本からはおよそ200名が参加しており、これはアメリカに次ぐ2番目の大所帯となる海外遠征組で、日本のドゥカティスタの情熱もかなりのものなのだ。





会場すべてがミュージアム。自由そのもののバイクカルチャー
約12万人という数字が示す驚異的な出来事は、初日の夕方に行われたドゥカティ・パレードにも現れている。会場のミサノ・サーキットから近隣のビーチリゾート・リッチョーネの町(来場者の多くが宿泊するホテルがあり、日本組もここに宿泊)まで続いた隊列は、最後尾が出発するまで40分かかり、なんと総延長が18kmになったというから恐ろしい。
たしかに初日と2日目の朝、会場に向かう道路は2kmほど手前から渋滞しはじめ、1kmまで近づくとまったく動かなくなった。そのためホテルから会場へ向かうバスを途中で下り、徒歩で会場入りしたほどだったのだ。
WDWのユニークなところは、会場に来場者用のバイク駐車場がとくに設けられていないことだ。もちろんバイクで会場入りできるのだから駐車はできる。しかしいわゆる「駐車場」がない。どういうことかというと、会場内の空いている場所ならどこでも駐車できるのだ(ブースの入口前とかは当然NG)。
これは「参加者のドゥカティもWDWを彩る展示だ」というドゥカティの意図を汲んだもので、そのため会場のそこかしこにさまざまなドゥカティが並ぶ。WDW会場全体がミュージアムと化すのである。だから会場内の通路をぼけっと歩いていると後ろからバンバンとスロットルをあおられるし、ときにホーンを鳴らされたりもする。
おかげでベベルやパンタなどの旧車(比率としてはかなり少数)から、ていねいにカスタムされたドゥカティ、はたまた経年劣化でそれなりにヤレたドゥカティ、最新モデルまで、実に多種多様なドゥカティを見ることができるのだ。とはいえ意外だったのは、多数派となっているのがムルティストラーダ(水冷V2エンジン以降で空冷モデルはわずか)とモンスター(こちらは初代から現行まで幅広い)で、パニガーレを筆頭とするスーパーバイクは少数派だったことだ。
しかもムルティとモンスター乗りの半分はTシャツ&短パン姿で、WDWというイベントを自由に、そしてリラックスして楽しんでいる様子が伝わってくる。
どちらも昨今の日本のバイク事情では考えられないことだが、バイクとは本来こういうふうに楽しむものだと思わせてくれるには十分すぎる。
ちなみに会場内にはヘルメットやウエア類を預けられるクロークが数カ所あり、コンテンツが続く深夜まで運営している。これは地味にありがたいサービスで、日本のバイクイベントでも採り入れてくれれば、来場者は安心して、なおかつ身軽にイベントを楽しめるはずだ。




朝から晩まで騒ぎっぱなし! WDWでイタリアの情熱を大満喫!!
さて、ドゥカティ100周年のWDWのコンテンツは、すべてを書ききれないほど豊富だった。主だったものを紹介すると、前述した『レース・オブ・チャンピオンズ』、スタントライドショー、FMX(フリースタイルモトクロス)、DRE(ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス)のパニガーレV4でのサーキット走行と新型デザートXによるオフロードレッスン、一般公道を走れる現行モデル試乗会、100周年のヒストリック車両と記念カスタムモデル展示、スーパーレッジェーラV4チェンテナリオ展示(マシンストリップ展示もあり)、カスタムマシンコンテスト、パーツサプライヤーブース、ドゥカティ純正グッズ販売ブース、MotoGPチーム対WSBKチームによるエンジンの分解/組立競争、この日のために結成されたドゥカティ・バンドによるライブ演奏……と、本当に盛りだくさんだ。
さらに、これらのブースに前述したレジェンドライダーがひょっこり現れていたり(もちろんあらかじめ決まっているトークショーもある)、MotoGPやWSBKをそのまま再現したピットには現役ライダーが登場して一緒に写真を撮れたりサインしてくれたりするから、ファンはまったく気を抜けない。実際、私も会場内を移動中にドゥカティ・モーター・ホールディングスCEOのクラウディオ・ドメニカーリやケーシー・ストーナーとすれ違って思わず振り向いたし、あるブース内で不意にトロイ・ベイリスを見かけた。
さらに夕方になると会場外でビーチパーティーやナイトパーティーが催されるから、まさしく朝から晩まで、1日のうち15時間ほどイベントが続く。何から何まで日本のバイクイベントとはスケールが違っていて、イタリアのバイクカルチャーの幅広さと奥深さ、そしてドゥカティの懐の大きさを痛感させられる。
ドゥカティファンにとってWDWは「いつか行ってみたい憧れのイベント」だが、実際に行ってみるとWDWはドゥカティファンのためだけのイベントではなかった。バイクファンなら誰もが楽しめるイベントだし(会場内にはごくごく少数だがドゥカティ以外のバイクも駐車している)、とくに日本のバイクファンにとってはバイクカルチャー発祥の地の熱気と情熱を感じることができるものだった。
WDWの次回開催は2年後。イタリアの情熱をぜひとも皆さんのその目で見て、肌で感じてほしい。そして大いにカルチャーショックを受けて、バイクへの愛情を深めてもらいたい。





