VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ムルティストラーダ1100S 試乗インプレッション

ムルティストラーダ1100Sの画像
DUCATI Multistrada 1100 S

ドゥカティ ムルティストラーダ1100S

  • 掲載日/2008年10月27日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

ドゥカティらしい
ストリートスポーツの提案

スポーツバイクメーカーであるドゥカティが、サーキットではなくストリートでのスポーティさを突き詰めて作り上げたマシン、それがムルティストラーダだ。オフロードツアラー的なアップポジションには、スーパーバイク同等のサスペンション、ブレーキが組み合わされ、個性的なスタイリングとなっている。イタリア語では「ムルティストラーダ」、英語では「マルチストリート」。あらゆる道でスポーティに、そして快適に走れるというコンセプトが生んだマシンなのである。日常的に使えるキャラクターと、走りの楽しさがどれくらい両立できるものなのか、そのあたりをチェックしてみたいところだ。

2001年に1000ccでデビューし、2005年からは620ccを追加、2007年には1000ccモデルの排気量をアップして1100ccとし、620ccを廃止。現在のラインナップはムルティストラーダ1100、ムルティストラーダ1100Sの2モデルとなっている。今回試乗したのは、前後にオーリンズ製サスペンションをセットしたSモデル。フロントフェンダー、カムベルトカバーをカーボン製とするほか、ハンドルにテーパー断面のものをセレクトしている。混雑した街中、幹線道路からワインディング、高速道路まで、快適性と楽しさ、実用性を求めるだけでなく、所有する喜びをさらに高めてくれるモデルだ。

ムルティストラーダ1100Sの特徴

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前後17インチの
ツアラースタイル

独特なデザインのライトまわりが目を引くムルティストラーダ。Sモデルの専用装備となるオーリンズ製サスペンションは、フロントフォークにチタンコーティングが与えられ性能プラス見た目のパフォーマンスも向上。リヤまわりではスイングアームを片持ち式とし141mmのホイールトラベルを確保している。また、ミラーにビルドインされたウインカーやテールカウル下に突き出した2本のサイレンサーは、ドゥカティらしいまとめ方。異色モデルでありながら、やはりスタイリングには歴然とした「ドゥカティらしさ」が宿っている。

ニューモデルのトピックスは、排気量の拡大。ボアアップによって1078ccとされたエンジンはこれまで以上にパワフルで、とくにトルクは大幅に向上。吸気には45mmのFIスロットルボディ、排気にはプレサイレンサーとO2センサー付触媒を装備して環境性能もクリアしている。空冷Lツインの味を残しながら、最新テクノロジーで武装したストリートスポーツだ。

オフロードモデル然としたスタイリングを得ながら、ホイールは前後ともに17インチ。フロントにはマルケジーニ製の6本スポーク、リヤにも同じくマルケジーニ製の5本スポークを装備。オフロードモデル+17インチホイールといえばスーパーモタードだが、ムルティストラーダは違う。そして単なるツアラーモデルとも言いにくいスポーティな装備の数々。「マルチ」な用途を求めたムルティストラーダが行き着いたのは、唯一無二のストリートスポーツという立ち位置だったのだ。

ムルティストラーダ1100Sの試乗インプレッション

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ストレートに出てくるパワーと
非常に素直な車体フィール

ほどよいレスポンスと、エンジンを回せば回すほど鋭さを増してくるパワーフィール。しかしその鋭さは対象物に突き刺さるような攻撃的なものではなくて、先端がわずかに丸められているために対象物にキズはつけない、そんなやさしさを合わせ持っている。オフロードモデル、ツアラーモデル的なポジションを期待しつつ、ムルティストラーダに跨ってみると、ハンドルが意外に遠く感じられ、プルバックが少ないハンドルバーは横一文字に近いように思えてくる。ドゥカティがストリートモデルに求めたスポーツ性能の一端が、まずはこのポジションに秘められているようだ。余裕があって疲れないポジションでありながら、ダルな感じはまったくない。

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走り出してみて感じられたのは、「素直すぎる」とも思えるほどのハンドリング。極低速でも、ややスピードを上げても、マシンはナチュラルにバンク角を増し、狙うラインを確実にトレースしていく。見た目に感じられる背の高さは、走ってみるとまったく感じられず、逆にコンパクトな印象。ストレスがないことが楽しい、そのことを教えてくれるようなマシンだ。ツインエンジンが持つパルス感は低回転時に際立ち、回転を上げていくにつれスポーティなフィーリングが顔を出す。徐々にパワーが湧き出してくるようなフィーリングは、スーパースポーツモデルが持つような俊敏さとはまた違った、芯の太さが感じられるものだ。スピードを上げれば上げるほどマシンが軽く感じられ、ハンドリングの素直さも増してくる。ドゥカティの考えるストリートスポーツとは、常用域での気持ちよさと余裕、そう考えていいものかもしれない。

こんな方にオススメ

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派手さと地味さの高バランス
個性的なライダーに乗ってほしい

ムルティストラーダは、現行ドゥカティの中で異色のラインナップである。スポーツバイクメーカーとしての提案がこのモデルに凝縮していることは、乗ってみれば感じられることなのだが、多くのライダーが「ドゥカティ・ブランド」に求めるエッジの立ったシャープなフィーリングは、このマシンにはない。加えてスタイリングもユニーク。ビギナーズ・ドゥカティ、という位置づけにあるモデルでもない。ストリートスポーツ、という新しい提案を理解するドゥカティスタが乗るというのが、このモデルの正しいあり方なのかもしれない。しかしそんなカタイ話を抜きにして、触れてみれば素直さが際立つこのモデル、逆にブランドイメージにこだわらずに、さまざまなマシン遍歴を持つライダーに乗ってみてほしい。

総合評価

毎日乗れて、毎日スポーツできる
街乗りとスポーツのダイレクトなつながり

毎日乗るバイクと、ライダーとの関係。ライダーに必要なのは愛車精神だとして、バイクに求められるのは、時折感じられるやさしさのようなものではないだろうか。エンジンのパワーだとかスペックを彩る数字だとか、そういうもので測れないやさしさ。ムルティストラーダに跨って、あえてスロースピードで走ってみると、そのやさしさが感じられる。早朝、会社や学校へ向かうとき、眠い目を擦りながら暖機して走り出す。そして夜、やや疲れてたどる家路にも、このムルティストラーダが癒しを与えてくれる。スポーツする気分じゃないときには、こちらに合わせてくれる感じがあるのだ。そして週末のツーリングには、平日と違う快適ルートで思いっきりスポーツできる。毎日付き合えることと、スポーツライディングを楽しめること、その両方をバイクに求めることはライダーのワガママだが、それを実に巧くバランスさせて実現してくれる。「マルチ」な楽しさと「マルチ」なやさしさ。それがムルティストラーダの最大の魅力なのだ。

ムルティストラーダ1100Sの詳細写真

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ライダーの直感に訴える
多機能デジタルメーター

スピードはデジタル式、タコメーターはアナログ針式。多機能ディスプレイは燃料計、油温計、時計のほか、平均速度や平均燃費、給油走行可能距離表示なども備えている。
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ダブルディスク+ブレンボ
充実のストッピングパワー

セミフローティング式のダブルディスクローターはφ320mm。4ピストンキャリパーとの組み合わせで、スポーティな走りに応えるストッピングパワーを約束してくれる。
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リヤビューを特徴づける
ツインエキゾースト

2本のエキゾーストパイプはエンジン下で一度集合し、サブフレームに沿って跳ね上がった後、サイレンサーエンドで再び2本に分かれる。昨今のスーパーバイクの流行にも通じる、ドゥカティらしいデザインだ。
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カーボンが奢られる
空冷Lツインのディテール

クラッチは乾式ではなく湿式を採用。また、Sモデルではカムベルトカバーにカーボンを採用している。車体色と同色となる、ドゥカティ伝統のトレリスフレームはスチールパイプ製。

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