VIRGIN DUCATI | ドゥカティのモンスター誕生25周年を記念した新型モンスター821 試乗インプレッション

ドゥカティのモンスター誕生25周年を記念した新型モンスター821

  • 掲載日/2018年04月27日【試乗インプレッション】
  • 取材・文/佐川 健太郎  写真/山家 健一  衣装協力/HYOD
ドゥカティのモンスター誕生25周年を記念した新型モンスター821の画像
DUCATI Monster 821

モンスター誕生25周年を記念し
従来モデルをリニューアル

新型モンスター821は1992年に発表された初代モンスターの誕生25周年を記念したモデルであり、デザインに初代モンスター900のエッセンスが注ぎ込まれているのが特徴である。2014年に登場した従来型をベースに各部に改良が施され、エンジンの出力向上やスタイリングのブラッシュアップを図りつつ、新設計マフラー、LEDヘッド&テールライト、TFTフルカラー液晶メーターなどが新たに採用されている。

そして、現行モンスターシリーズの中では、上級モデルのモンスター1200と空冷Lツイン搭載のエントリーモデルとしてのモンスター797との間に位置するミドルクラス的な位置づけとなっている。

モンスター821の特徴

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エンジンはパワフルに
デザインも洗練された

新型モンスター821は基本的に従来モデルの発展型である。エンジンは通称テスタストレッタ11°と呼ばれる水冷Lツイン821ccで、新デザインの2-1-2エグゾーストを採用し、パワーと効率アップしつつユーロ4対応を実現。最高出力も109psと従来型から8ps向上しつつ、ファイナルレシオの見直しによりオールギアで優れた加速とレスポンスを実現している。

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シャーシはエンジンブロックを剛性メンバーとして活用するトレリスフレームというパニガーレと同じ発想の構造で、コンパクトで軽量ながら高いねじれ剛性を実現しているのが特徴だ。ライド・バイ・ワイヤによる電子制御も従来型を踏襲し、パワーモードは最高出力とパワー特性が異なる「スポーツ」、「ツーリング」、「アーバン」の3種類のマッピングから選択可能。ボッシュ製ABSとトラクションコントロールから構成されたドゥカティ・セーフティ・パックも継続される。また、アシスト機構付きのスリッパー・クラッチの他、オプションでクイックシフターが装着可能だ。

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足まわりに関しては従来どおりで、ブレーキは前後ブレンボ製でフロントにはラジアルマウントモノブロックキャリパー&ダブルディスクを採用し、ボッシュ製ABS 9.1MPを標準装備。サスペンションはフロントにφ43mm倒立フォーク、リアにはプリロード調整可能なモノショックとアルミ製両持ち式スイングアームが組み合わされる。

デザインも細部がリファインされ、タンクとテールセクションはスリムな新デザインとし、タンデム用のフットペグサポートは独立タイプに変更。ヘッドライトはハロゲンにU字型LEDポジションランプを組み合わせた新デザインとなり、メーターパネルにはTFTカラー液晶ディスプレイを新採用。スマホの機能の一部をブルートゥースで接続して使えるオプションのマルチメディアシステムにも対応するなど、装備も現代的にリファインされている。

モンスター821の試乗インプレッション

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ガッツがあって扱いやすい
ソロで楽しむには最高だ

モンスターを見ていると、いつも素直にカッコいいと思える。車体のセンターにマス集中した筋肉質なフォルムや、カウルや積載のための装備を持たないミニマルなデザインなど。今でこそ見慣れた感はあるが、25年前にこのデザインコンセプトを完成させていたドゥカティの先見性はさすがとしか言いようがない。プリミティブな美しさがモンスターにはあるのだ。

その25周年を記念して登場した新型821ということで、従来型をベースに細かい部分をきっちり仕上げてきた。ユーロ4の排ガス規制がほぼ世界標準化されたことも大きいと思うが、今回から最高出力値やマフラー形状も本国仕様と共通になっている。タンクまわりなどをシェイプしつつ、LEDライトやTFTカラーディスプレイを新採用するなど装備もグレードアップしている。個人的にはライダー側のステップが独立構造となったことで、ステップワークがしやすくなったことが嬉しい。

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従来型に試乗したのがだいぶ前なので印象が薄いが、最近乗った空冷Lツインのモンスター797と比べると、排気量はほぼ同じなのに圧倒的にパワフルで高回転まで伸びるし、パワーの分だけ車体や前後サスなどの足まわりもカッチリしているので、乗り味にも剛性感がある。

ハンドリングは797が軽快で穏やかとすると、821はよりシャープかつ凝縮感がある感じで、言うなればパニガーレチック。乗ればすぐに分かるが、797とはターゲットが違うのだ。やはり気持ちいいのはエンジンで、ドゥカティ独特のLツインが奏でる金属的な鼓動をともなった重厚感のあるサウンドはいつもながら素晴らしい。

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最近のLツインは低回転から驚くほど滑らかでしっとりしているし、Lツイン十八番の中速トルクは軽量なボディを弾けるように加速させるし、高速域では最新の水冷エンジンらしい伸び切り感もある。モンスター1200クラスになるとそれは恐怖と紙一重にもなるが、821の良さはパワーと扱いやすさが絶妙に均衡したところにあることだ。たとえば、797に試乗してみて「もう少しガッツが欲しい」とか、1200では「コワくてぜんぜん開けられない」という人にぜひおすすめしたいのがこの821だ。

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走行モードをいろいろ試しながら走ってみたが、出力特性だけでなくABSやトラクションコントロールの介入度も最適化されるので、ライダー主体でよりスポーティにも攻められるし、マシン任せでより快適にも流せるなど様々なシーンで楽しめる。荷物も積めないし、タンデムもあまり期待できないが、街乗りからワインディングまでソロで走りを楽しむには最高のパートナーだろう。風が気持ちいいオーブトップのスポーツカーのようなバイクだ。

モンスター821の詳細写真

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最高出力109HP(79kW)/9,250rpm、最大トルク8.8kgm(86Nm)/7,750rpmを発揮する821ccの水冷L型2気筒デスモドロミック・テスタストレッタを採用。エンジンブロックはトレリスフレームと直接連結されシャーシの一部となっている。
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ブレーキは前後ブレンボ製でフロントがラジアルマウント4ピストン M4-32モノブロックキャリパーとφ320mmダブルディスク、 リアは2ピストンとφ245mmディスクを採用。8段階のトラクションコントロールと3段階のABS調整が可能なボッシュ製ABS 9.1MPが標準装備される。
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フューエルタンクおよびテールまわりのデザインを一新。従来に比べて上部のエラが滑らかになり、よりスリムかつモンスターらしい力強いフォルムを継承。燃料タンク容量は16.5リットルと従来モデルより1リットル低減。
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2段階に調整可能(785mm/810mm)なシート。高さは従来どおりだがデザインが見直され、後端部がやや伸びてバックレスト的形状になりホールド感が向上している。リアシートカバーは容易に取り外しが可能だ。
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新設計の2-1-2エグゾーストはデュアルサイレンサーに触媒を装着しユーロ4に対応。電子制御エキゾーストバルブが全回転域で排気圧を最適化しスムーズなパワーを実現する。ライダーとパッセンジャーのフットペグサポートも新設計の独立タイプとなり、ライディングの自由度がアップ。
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サスペンションはフロントにφ43mm倒立フォーク、リアにはプリロード調整可能でプログレッシブリンケージを介して作動するモノショックを装備。
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新型ヘッドライトはハロゲンライトに「U字型」LEDポジションライトを組み合わせたタイプ。モダンかつ歴代モンスターのイメージを投影したデザインが印象的だ。
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テールライトもLEDタイプを採用。スリムなウインカーはクリアレンズにオレンジ球を組み合わせる。すっきりとコンパクトにまとめられたリヤビューはモンスターの伝統だ。
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メーターパネルには新たにTFTカラー液晶ディスプレイを採用。回転数と速度の他、ギアポジションや燃料計、走行モード、ABS、トラコンなどの各種設定を表示。複数の表示モードに切り替えることが可能だ。
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初代モンスターをオマージュしたタンク固定フックを再現。こうしたディテールの作り込みにも、モンスターに対するパッションが感じられる。

SPECIFICATIONS – DUCATI Monster821

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価格(消費税込み) = 141万9,000円~
※表示価格は2018年5月現在

水冷Lツインを新設計トレリスフレームに搭載した第三世代モンスターシリーズの最新作。エンジン自体を剛性メンバーとして利用するシャーシや電子制御の投入が特徴となっている。

■エンジン型式 = 4ストローク 水冷L型2気筒DOHC4バルブ

■総排気量 = 821cc

■ボア×ストローク = 88 x 67.5mm

■最高出力 = 80kW (109ps) / 9,250 rpm

■最大トルク = 86Nm(8.8kgf-m) / 7,750 rpm

■トランスミッション = 6速リターン

■サイズ = 全長2,099mm× 全幅799 ×全高1,085mm

■車両重量 = 193kg

■シート高 = 785/810mm 可変式

■ホイールベース = 1,480mm

■タンク容量 = 16.5リットル

■Fタイヤサイズ = 120/70-17

■Rタイヤサイズ = 180/55-17

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