VIRGIN DUCATI | 王者はなお進化する。新型パニガーレV4 MY2027が示す“頂点の流儀” トピックス

王者はなお進化する。新型パニガーレV4 MY2027が示す“頂点の流儀”

  • 掲載日/2026年10月17日【トピックス】
  • 写真/ドゥカティ 文/小松 男
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MotoGPとWSBKの最前線で磨かれた技術を、惜しみなく市販車へ。ドゥカティが「スーパーバイクの王」であり続けるために送り出した新型パニガーレV4は、2年ぶりの大幅進化だ。218psに達したデスモセディチ・ストラダーレ、後輪ブレーキを味方につける新電子制御、そして精悍なカラーリング。その全貌を、長年のファンの目線で読み解いてみる。
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広がるドゥカティの世界、
それでも王座はパニガーレ

ドゥカティはいまや、プレミアムスポーツバイクメーカーという枠に収まらない存在だ。ストリートファイターやモンスター、ムルティストラーダ、ディアベルなどに加え、近年ではモトクロスやオフロードの世界にまで活躍の場を広げている。セグメントを拡大し続ける姿勢は、ブランドの懐の深さそのものだろう。

しかし、真髄がどこにあるかと問われれば、答えは昔から変わらない。スーパーバイクである。MotoGPやWSBKの第一線で戦い、そこで得た知見を迅速に市販モデルへ落とし込む。レースと市販車が一本の線でつながっているからこそ、パニガーレは常にスーパーバイクセグメントの頂点、まさに「キング」として君臨してきた。その系譜は7世代、約40年にも及び、今年のトップレースシーンでも圧倒的な強さを見せている。

こう書くのは行き過ぎかもしれないが、ラインアップがどれほど豊富になろうとも、スーパーバイクの販売が好調であること。それがメーカーにとっての何よりの活力であり、ドゥカティ自身もそう考えているのではないだろうか。

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長年のドゥカティファンとして、パニガーレがどんどん進化していく姿を見られるのは純粋にうれしい。一方で、かつては日本のメーカーも毎年のようにバージョンアップを重ねていた時代があった。時代に合わせたビジネスの変化は理解しているつもりだが、あの「今年の新型はどうなる?」という高揚感を思うと、正直、寂しい気持ちもなくはない。

そのようなことを踏まえても、今回の新型パニガーレの上陸は実に待ち遠しい。ここからは、その進化のポイントを見ていこう。

218psに到達した心臓部、
“回す”ほど速くなる進化

新型の心臓部は、MotoGPの血統を受け継ぐデスモセディチ・ストラダーレ(1,103cc)。吸気・排気・潤滑系を見直した結果、最高出力は218ps(Euro5+仕様、従来比+2ps)に達した。数字以上に注目したいのは、12,000〜14,000rpmの高回転域で出力が向上している点だ。13,000rpmではピークパワーが3.5ps増加しており、サーキットで「活きる」領域がまさに強化されている。新設計の大型エアインテークは、300km/h走行時のラム圧が0.6%向上し、超高速域ではさらに1.3psのパワーアップを果たすという。

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面白いのは、ギアリングの変更だ。最終減速比を2.563から2.471へと高速寄りに変更し、最高速度は12km/h向上。さらにレブリミットは2〜5速で15,000rpmへと500rpm引き上げられた。ヴァレルンガ・サーキットでは、これだけで1周あたりのギアチェンジが2回減るという。パワーを上げるだけでなく、ライダーがライン取りやライディングテクニックに集中できる時間を増やす。速さを「数字」ではなく「ラップの中身」から作り込むあたりが、実にドゥカティらしい。

なお、新エアインテークで増える空気抵抗は、大型のエンドプレートを備えた新形状のウィングで相殺される。吸気から空力まで、一体で考え抜かれているわけだ。

さらにサーキットを本気で攻めたい人には、アクラポヴィッチのフルレーシングエキゾーストPROも用意される。+11ps、+7Nm、そして6.6kgの軽量化。レーシングマシンへの最短ルートと呼べるアイテムだ。

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ブレーキングを武器に変える、
シャシーと電子制御の新境地

シャシーで注目すべきは、フロントフレームの横剛性を12%低減した点だ。剛性を落として速くするというのは一見逆説的だが、狙いは深いバンク角でのタイヤの接地感にある。フロントのグリップが増し、コーナリング時のフィーリングがより正確になり、コーナーの頂点に向かうラインをタイトに保てる。コーナリングスピードを維持したまま、より早くスロットルを開けられるわけだ。

最終減速比の変更は、実質的にホイールベースを8mm短縮する効果ももたらし、切り返しの俊敏性にも寄与するという。V4 Sには、サーキット専用で10mm高くセットできる調整式クリップオンハンドルも採用された(公道走行時は調整不可)。近年のMotoGPの流れに沿ったポジションで、ハンドルへの力のかけやすさや、ハードブレーキング時の身体の負担軽減が狙いだ。

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そして今回、最大のハイライトと言えるのが電子制御である。従来のエンジンブレーキコントロールに代わって登場した「ダイナミック・エンジン・ブレーキ(DEB)」は、DVO(ドゥカティ・ビークル・オブザーバー)のアルゴリズムで、後輪の実際の負荷に応じてエンジンブレーキを調整する。そこに、ドゥカティで最もエクスクルーシブなモデルで培った経験を反映した新開発の「レース・ブレーキ・コントロール(RBC)」が加わり、減速時の後輪の役割を高める。両者の連携で、通常はプロライダーだけが行えたリアブレーキの自在なコントロールを、より幅広いライダーが手にできるとドゥカティは説明している。ブレーキングポイントはより奥へ、コーナー進入速度はより高く。レースで勝つための武器が、市販車の手の内に降りてきたということだ。

その成果は数字にも表れている。ヴァレルンガでの平均ラップタイムは従来モデル比で0.4秒短縮。多くの機能は今年のWDWのレノボ・レース・オブ・チャンピオンズで実証され、ニコロ・ブレガ選手は過去のポールポジション・レコードを0.7秒短縮したという。

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赤×グレー×ブラックの精悍さ、
そして工場で仕立てる夢の一台

そしてもうひとつ、新型パニガーレで見逃せないのがカラーリングだ。日本向けのV4 Sは、ドゥカティ・レッドとパフォーマンスカラーの2種類。どちらもフレームはアーバングレー、ホイールはブラックで統一される。スタンダードのV4もドゥカティ・レッドにアーバングレーのフレームとブラックのホイールを組み合わせる。王道の赤に、グレーとブラックの引き締め役を添えた、スーパーバイクらしい精悍な装いだ。

足まわりの違いにも触れておこう。V4 SはオーリンズのNIX30フォークとTTX36リアショックをSmart EC 3.0で電子制御し、5スポークの鍛造アルミホイールを装着する。装備重量(燃料を除く)は187kg。スタンダードのV4は、ショーワのビッグピストンフォークとザックスのモノショックを備え、191kgとなる。

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ちなみに、海外では驚きのカスタマイズが始まる。V4 Sがドゥカティのファクトリーメイド・プログラムに初参加し、ボルゴ・パニガーレの工場で、好みのカラーやグラフィック、コンポーネントを組み込んだ一台を仕立てられるのだ。海外のリリースによれば、カラーは全11色。そのうち5色(Arancio Xanto、Giallo Belenus、Verde Scandal、Viola Pasifae、Blu Uranus)はアウトモビリ・ランボルギーニの「アド・ペルソナム」から選べるという。ただし、日本への導入時期は未定。これは、ぜひとも実現してほしいところだ。

発売は、欧州で2027年3月、日本では4月からの予定。ドゥカティの王座を守る新たなキングの姿を、早く自分の目で確かめたい。

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