VIRGIN DUCATI | スーパーバイク999S カスタムDUCATI

スーパーバイク999S

  • 掲載日/2011年08月11日【カスタムDUCATI】
  • 記事提供/『DUCATI Campione Del Mondo』 Vol.07(2004.02.27発行)
スーパーバイク999Sのカスタム画像

レーシングイメージを抱かせつつ
独自の世界を提案する一台

ドゥカティのカスタマイズを語るときに、切っても切れない存在にファクトリーバイクがある。機能&性能優先のレーシングマシンは、見るものを魅了する非日常的な美しさがある。特に、ドゥカティの歴代フラッグシップモデルは、ホモロゲーションモデルが存在することからも理解できるように、そのデザインはレーシングマシンそのもの。そんな市販車を、ファクトリーバイクに限りなく近づけたいとは、ドゥカティレーシングのファンなら誰もが考えるはずだ。そんなバックグランドのなかで、これまで数多くのカスタムマシンが誕生してきた。

しかし、そんな方向性とは、またちょっと違ったカスタマイズを好むファンがいるのもまた事実。レーシング仕様を追求し過ぎた結果、気が付けば、ストリートでは乗りにくいマシンになってしまうこともあるし、逆に、まんまファクトリー仕様のカスタムマシンが多いからこそ、独自の方向性で、素材の魅力を引き出したいと考える者もいる。

ここに紹介するのは、999Sをベースに独自の方向性でカスタマイズを進めたマシンである。製作したモトコルセでは、あえてファクトリーバイクのイメージに固執することなくマシン開発を進めている。それは、マシンのディテイルからも理解することができる。

モトコルセでは、以前から独自のカスタムコンプリートを提案。このマシンは、999Sをベースに開発された999SCと呼ばれるモデルだ。その基本メニューは、フロントブレーキをラジアルフィックス仕様にするため、オーリンズ製倒立フォークに同社オリジナルのアルミ削り出しボトムケースを組み込む。キャリパーにはゴールド仕様のラジアルフィックス&ステンメッシュホースを組み合わせている。ディスクローターには、ラジアルフィックス対応パーツを採用。また、ドゥカティのアイデンティティであるパイプフレームは、その美しさを際立たせるためにテライオロッソ=赤フレーム仕様とされている。

この999SCに、同社オリジナルのスペシャルパーツをさらに組み込み、その存在感を際立たせているのがこの999SCエボルツィオーネとも呼べるマシンだ。

フェラーリといえばレーシング。市販モデルにフォーミュラー1のイメージをオーバーラップさせているファンが多い。しかし、市販車はスポーツカーであり、フォーミュラーカーではない。同様に、モトコルセのカスタムマシンには、ドゥカティのレーシングイメージを抱かせつつも、独自の世界を提案。ドゥカティが持つ魅力の懐の広さを証明したスペシャルマシンである。

スーパーバイク999Sのカスタム画像
「999ファクトリーをほうふつ」という直球路線ではなく、もはや独自のブランドイメージでカスタマイズ展開し、事実、それが認められているモトコルセ。レーシングではなくスポーツカー的なのだ。

カスタムの詳細をチェック!

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K24コーティング、つまり24金コーティングの施されたウインドスクリーン。控えめながら独特な輝きを放ち、マシンカラーとのマッチングも柔和で好感がもてる。美しいパーツだ。
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ゴールドアルマイトの輝きが強烈なほどに印象的。ポリッシュアップされたのちにアルマイト処理が施されている。ドゥカティの鍛造アルミ製パーツはアルマイトの発色がすこぶる良い。
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ファクトリーバイクにような取り回しが迫力の2-1-2スペシャルエキゾースト。集合パイプ部分はワークスマシンと同じφ60.5mmを採用。そのこだわりたるや並大抵のものではない。
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今、国産四輪車にようやく採用されるようになってきたアルカンターラシート。上質のレザーを採用したそれは、モトコルセカスタムの定番だ。同社では5年も前からアルカンターラに注目。
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純正タンクキャップはヒンジ部分が華奢で今ひとつ納得がいかない。このタイプはベースをボルトオンで固定し、スクリューキャップを取り外して給油するレーシングタイプ。
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999F仕様のサイレンサーデザインが全盛のなかにあって、あえて2本出しサイレンサーを採用。しかも特殊形状の鈑金仕上げで、テーパードサイレンサーになっている。強烈な個性だ。
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999SCコンプリートの標準仕様であるラジアルフィックスボトムケースとブレンボ製ゴールドラジアルキャリパー。アルミ削り出しのボトムケースは999Rのそれ以上のクオリティを持つ。
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CNCマニシングセンターにより削り出されたモトコルセオリジナルのラジアルフィックスボトムケース。オーリンズのみではなくショーワ製倒立フォークに対応したパーツも揃えている。
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圧倒的な強度を誇るドライカボンコンポジットのクラッチカバーはエンデュランス仕様。コケても削れるだけでクラッチにダメージも与えない。クラッチは定評のエボルツィオーネだ。
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モトコルセ仕様のステップキット。あくまでストリートユースを優先したこのキットでは、ステップバーの形状がなつかしの仕様だ。丸エンドのサーキットレギュレーションに対応していない。
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これまでのドゥカティと異なる取り付けPCDを持つ999シリーズ専用のジュラルミンスプロケット。525または520対応で36~41Tまでラインナップされている。
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リアショックユニットはオーリンズ製。近年のハイエンドモデルにはほぼ標準装備される。せっかくオーリンズなのだから、このショックユニットは自分仕様にセッティングしたいものだ。
取材協力
住所/神奈川県厚木市酒井3011
定休/毎週火曜
営業/10:30~20:00
Tel/046-220-1711

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