VIRGIN DUCATI | ドゥカティ スーパーバイク848 試乗インプレッション

スーパーバイク848の画像
DUCATI Superbike 848

ドゥカティ スーパーバイク848

  • 掲載日/2009年05月21日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

レースカテゴリから脱却した
新たなミドルウェイト・スポーツ

ドゥカティのスーパーバイクシリーズと言えば、やはりレースのイメージが強い。現に世界スーパーバイク選手権などで活躍するバイクと同じ車種に乗れる、というのは大きなアピールポイントの一つだ。しかし、今回インプレッションを行う「スーパーバイク848(以下848)は、既存のレースカテゴリと関連しない排気量を選択した、同社の看板シリーズに新たなる1ページを書き加えるエポックメイキングなモデルだ。レースで勝利するための絶対性能だけでなく、ストリートでの乗りやすさも重要な要素に位置づけられており、これまでのスーパーバイクにはなかった存在として熱い注目を集めている。日本では2009年2月から導入が開始されたが、その評判は「高い性能とユーザビリティを兼ね備えている」という上々なもの。これまでのイメージを覆すような848の評価が真実なのかどうか、早速自ら確かめてみることにした。

スーパーバイク848の特徴

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軽量なボディに与えられるのは
トップクラスのパフォーマンスパーツ

スーパーバイクシリーズをはじめ、ドゥカティのラインナップに共通しているのが、各部に使用されるパーツのクオリティが非常に高いと言うことだ。848も多分に漏れず、前後ブレーキはブレンボ製、サスペンションはショーワのアジャスタブルタイプを採用。電装にLEDを用いたり、ボルト類に細かいデザインが施されていたりと、全体の質感も所有欲を満たしてくれるクオリティだ。特にカウリングの造形は、同クラスのスポーツバイクと比較しても頭一つ出た高いデザイン性を誇っており、スタイルも飛びぬけてスマートで美しい。乗っている時だけでなく、ただ置いているだけでも注目を集めるこの存在感はドゥカティならでは。今回も信号待ちから料金所、ガソリンスタンドまで視線を感じることが多かった。

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そして、このハイクオリティな車体に搭載されるエンジンにも注目しておきたい。L型2気筒4バルブ水冷エンジン「テスタストレッタ・エボルツィオーネ」は、各種規制が入った日本国内仕様においても129馬力を発生。一般的な速度域からハイスピードレンジまでスムーズに加速してくれる。手首の角度に応じて「ちょうど気持ち良いパワー」を与えてくれるため、振り回されるような恐怖感は少なく、扱いやすさが際立っている。おそらく国産スポーツから乗り換えても、大きな違和感は感じないはずだ。また、エンジンを回し切りたいアグレッシブなライダーにとっては、1098よりも魅力的な特性と言えるかもしれない。中間排気量だから楽しめる「ジャストサイズな高性能」も848の特徴のひとつだ。エンジン、装備、デザイン、どの方面から見ても848はドゥカティらしいプレミアムな存在感を放っている。乗って、見て、所有して楽しめるバイク=848というのは、少し言い過ぎだろうか。

スーパーバイク848の試乗インプレッション

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ライダーのレベルに応じて楽しめる
奥深いパフォーマンスを実感

スポーツ性能を高次元で追求したスーパーバイクシリーズは、ツーリングライダーである自分にとって縁遠いバイクではないかと感じていた。しかし、実際に乗った848の印象は、事前に抱いていたイメージと大きく違った。ポジションこそ前傾が強いものの、その実態は気負わず乗れるスポーツバイクと言ってしまってもいいかもしれない。ただ、国産スポーツと違うのは、848はその実感を得るまでにある程度手順を踏まなければならないところだ。

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まず、スタンダードで乗り始めたときは、やはり手ごわい印象があったことは正直に記しておく。サスペンションは良く動くが硬く感じるし、きつめの前傾姿勢は街中の走行に向いていないように思えた。ただ、エンジンについては音、レスポンス、扱いやすさともに好印象。特に5000回転前後の力強くもスムーズなパワーフィールは癖になる心地良さだ。そして、エンジンの面白さを味わっているうちに、バイクとライダーの動きに、国産モデルで見られる「あいまいな」部分が無いことに気が付いた。ライダーに伝わる路面情報、バイクへ伝える入力、そのいずれも余計なフィルターを通していないのだ。最初はあまりの情報量に戸惑いを覚えたが、慣れてくると同時にこの率直なやりとりによって、「これからどうすればいいのか」ということが、バイクから乗り手に伝えられてくる。

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今回受け取った回答は、乗り手とサスペンションのセッティングの不一致。幸いなことに、848のサスペンション調整機能は簡単に触れるところに配置されており、シートカウル内には調整用の工具が備えられている。早速セッティングの変更を開始したが、幅広い調整範囲を持つサスペンションは微量な調整でも明確に変化が分かり、乗ってはいじるというトライ&エラーがとても楽しい。結局自分仕様になるまで数度の作業を要したが、848の動きと面白さは調整前と歴然の差が現れた。右手の動きで容易に姿勢を変化させられるだけでなく、コーナーリングの自由度も圧倒的に高い。それでいてバイクに乗せてもらっている感覚が少ないため、「まだ行けるのでは…?」と挑戦したくなってくるのだ。ただスペックが高いだけでもなく、ライダーに優し過ぎるわけでもない。乗り手のレベルにあわせた変化をするだけの余裕を持ち、それを苦と思わせない絶妙な味付けこそ、848が持つ最大の魅力だ。バイクとライダーが語り合い、共に成長出来る稀有なスポーツバイクとして、価値のある1台と言えるだろう。

プロフェッショナル・コメント【01】

積極的にエンジンを回す面白さ

848はスーパーバイクの中でも特に面白い1台だと思いますね。「楽に乗る」という観点から見れば1098かもしれませんが、「自分で積極的にバイクをコントロールしていきたい」というライダーには848の方がおすすめです。パワーも現実的なレベルで使えるようになっていますし、湿式クラッチを採用しているので、余計な気を使わずにスーパーバイクの美味しいところを味わえますよ。(ドゥカティ練馬 加藤店長)

プロフェッショナル・コメント【02】

何でもできちゃうスーパーバイク

「え、こんな気軽に乗れちゃうの?」って、お客様によっては驚かれるかもしれませんね(笑)。スーパーバイクシリーズ自体、実は扱いやすいモデルなのですが、848はその中でもエントリーモデルと言える1台。「乗せられている感」が少ないのも特徴ですね。国産のスーパースポーツからの乗り換えても違和感が少ないんじゃないでしょうか。それでいてドカならではの濃い味も楽しめます。(ドゥカティ埼玉南 山本ストアマネージャー)

スーパーバイク848の詳細写真

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メーターはシンプルなデジタルメーターを採用。トリップメーターなどの操作は左ハンドルのスイッチボックスから行う。
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2本出しマフラーが演出する圧倒的な存在感はスーパーバイクシリーズの魅力の一つ。タンデムにも対応している。
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スクリーンの高さは低め。恩恵を最大限に受けるためには、ライダーが伏せの体勢になる必要がある。
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フロントフォークは調整幅の広いアジャスタブルタイプ、ブレーキは定番とも言えるブレンボ。
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リアにはショーワのアジャスタブルサスペンションを採用。出荷時の設定は比較的硬めになっている。
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タンデムシート下は書類と車載工具入れとなっている。車載工具はドライバーとプラグペンチなど、必要最低限のものだけ。
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シート高は830mmと数値だけ見ればかなり高いが、スリムなため足つきは悪くない。身長174cmの筆者の場合、足の裏が半分ほどつく。
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フロントウィンカーはミラーに埋め込まれている。LEDを採用しており、見た目にもスタイリッシュな印象だ。
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フロントカウルに取り付けられたミラーは、鏡面のみの調整となる。稼動範囲は広いが、位置の関係で視界はあまり広くない。

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