VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ディアベルストラーダ 試乗インプレッション

ディアベルストラーダの画像
DUCATI Diavel Strada

ドゥカティ ディアベルストラーダ

  • 掲載日/2013年06月26日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

新しく加わったツーリング仕様は
ディアベルの楽しみ方の幅を広げた

2013年6月より日本での発売が開始されたディアベルストラーダは、2011年に登場したディアベルシリーズの派生モデルだ。車名に付く「ストラーダ」とはイタリア語で「道」を意味し、このディアベルストラーダが大型のウィンドスクリーン、パッセンジャー用のバックレスト、ソフトパニアケース、グリップヒーター、2カ所の電源ソケットなどを備えたツーリング仕様であることを表している。

そもそもこのディアベルは、スーパーバイク世界選手権や MotoGP に参戦してきたレーシングイメージのドゥカティとはかけ離れたモデルだが、逆にそこがユーザーに受け入れられている。実際、2013年現在、日本で新車販売されているドゥカティの4分の1がこのディアベルシリーズなのだ。

ディアベルストラーダの特徴

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大型のスクリーン、パニアケースなどにより
まったく別のモデルに仕上がっている

現車を前にした第一印象は「写真で見るのとはずいぶん違う色だな」だった。2013年、ディアベルストラーダに設定されたカラーリングは一色。その正式な色名は、レースチタニウム・マットとされている。資料写真で見る限りではその名の通り、クールなグレーだが、実際はブラウン系の暖かいカラーリングなのだ。若々しく、やんちゃな雰囲気を持つシティクルーザーのディアベルやディアベルカーボンに対し、ディアベルストラーダは落ち着いた大人のツーリングモデルとして作り分けられているのだとわかった。

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とはいえ、既存のディアベルをベースとしているため、基本的な部分は共通だ。排気量 1,198cc のテスタストレッタ11°エンジンや、「SPORT」「TOURING」「URBAN」の3つのライディングモード、RbW(ライド・バイ・ワイヤ)、ABS と DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)を組み合わせた DSP(ドゥカティ・セーフティ・パック)、240mm サイズのリアタイヤなどを踏襲している。マルゾッキ製の 50mm フロントフォークと 14本スポークホイールについては、ディアベルと同じものを採用する。

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ディアベルとの違いは、大型のウィンドスクリーン、セットバックされたハンドル、肉厚のシート、パッセンジャー用バックレスト、リアのストップランプ&ウィンカー、ソフトパニアケース、グリップヒーター、2カ所に設けられた電源ソケット、そして前述のカラーリングである。ただそれだけなのにまったく別のモデルに仕上がっているのはお見事。それもそのはず、既存モデルに追加装備を施すことで派生のツーリング仕様を作るというモデル展開は、かつての モンスター900シティ や GT1000ツーリング などで培ってきたドゥカティの伝統手法なのだ。

ディアベルストラーダの試乗インプレッション

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乗ることに億劫にならずに気軽に乗れる
ライダーの負担が少ない一台

もともとディアベルは、クルーザーとしては非常に車重が軽い。高速道路などでは車重が重いほうが安定するという場合もあるが、軽さは「走る」「曲がる」「止まる」というすべての面で有利。そもそも走り出す前の「取り回し」の時点で大きな武器になる。ディアベルストラーダ(装備重量 245kg)は、スクリーンやパニアケースを装備したことでベースモデルのディアベル(239kg)に対して 6kg 増となったが、その差はほとんど感じない。

その一方で、ディアベルシリーズに共通する足つき性はクルーザーらしくとても良好で、特に日本仕様にはシート高が 750mm に抑えられるローシートが標準装備(イタリア仕様は 770mm)されるので、その足つき性はさらに高まっている。これはディアベルストラーダについても変わりはない。

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エンジンを始動させると、やや高めの回転数できれいにアイドリングする。最近のドゥカティはどのモデルも同じようなエンジン音がして個性に欠けるという意見もあるが、早朝に住宅街を出発するツーリングのことを考えると、安定して静かに回るエンジンはとてもありがたい。

ディアベルに対して、15mm 高く、60mm も手前に設定されたハンドルは、自然に手を伸ばしたゆとりあるポジションで、まさにクルーザーといったライディングフォームを作り出す。ディアベルではハンドルを切ったときに腕が伸び切ってしまうが、ディアベルストラーダは腕や肘に余裕ができるので、Uターンで大きくハンドルを切るときにも不安がない。また、大型のスクリーンは高速走行や街乗りでも防風効果が得られる。パニアケースは必要にして十分な容量を持っているものの、当然ながら車体幅が広くなるため、特に狭いところを走る際には注意と慣れが必要だ。

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走行性能については、テスタストレッタ11°エンジンのパワーは申し分なく、「SPORT」「TOURING」「URBAN」のモード切り替えによって最適な出力が得られる。いずれのモードも低回転からしっかりパワーが出ているので、スロットルを軽くひねるだけで加速していく。これに加え、湿式クラッチの扱いやすさもあり、市街地のノロノロ走行やストップ&ゴーもラクラクだ。この走行性能は、合流や車線変更で戸惑いがちなビギナーをも助けてくれるだろう。

取り回しと足つきに優れ、思い通りに走れる走行性能と積載性をあわせ持っている=気軽に乗れて、乗り手の負担も少ないディアベルストラーダは、とてもライダーにやさしいオススメの一台といえる。

プロフェッショナル・コメント

小柄なライダーでも安心できる
自然なライディングポジション

身長 166cm と決して大きくない私が既存のディアベルに乗車すると、少しハンドルを前に取りに行くような格好になります。しかし、ハンドルが手前にあるディアベルストラーダは、いたって自然なライディングポジション。当然乗り心地も良く、まったくの疲れ知らずでした。ウィンドスクリーンについてはもちろん防風効果絶大ですが、ムルティストラーダのような可動式にしても良かったかな? と思います。落ち着いた色と装備の充実は、大人のドゥカティを演出する一方で、もう少し派手さがあったほうがドゥカティらしいかなと思ったのは、毎日真っ赤なドゥカティを見ている職業柄でしょうか。それも含めて、ディアベルシリーズはドゥカティの新たな挑戦なのでしょう。ディアベルの可能性はまだまだ未知数です。見た目に惑わされず、まずはお試しあれ!(ドゥカティ埼玉南 山本 賢さん)

取材協力
住所/埼玉県川口市桜町1-6-11
定休日/毎週月曜、第2・4火曜
営業時間/10:00~19:00
電話/048-288-8108

ディアベルストラーダの詳細写真

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ディアベルストラーダの特徴のひとつである大型ウィンドスクリーン。高速走行はもちろん、街乗りでも防風効果が感じられる。
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色名こそレースチタニウム・マットとされているが、実際はブラウンがかった落ち着きのあるカラーリングだ。
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ディアベルカーボン、ディアベルクロモなどと同様に、ディアベルストラーダにも専用の車名エンブレムが装着される。
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長距離走行に適した肉厚のシートが装着される。シート高は他のディアベルと同じ 750mm(日本仕様)。
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パッセンジャー用のバックレストには、パニアケースのステーを兼ねたタンデムグラブバーが設置されている。
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他のディアベルシリーズとは異なり、オーソドックスなストップランプ&ウィンカーを備えるテールまわり。
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最大の特徴であるパニアケース(容量 41リットル)には、防水インナーバッグが付属し、雨のツーリングもバッチリ。
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ケースを半開にしたままキープできる機能は、実際の荷物積み下ろしに便利。荷物を固定するバンドも装備される。
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パニアケースを車体から取り外す場合はメインキーではなく、別途付属されるこの専用キーを使用する。
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テスタストレッタ11°エンジンは、「SPORT」「TOURING」「URBAN」とシーンに合わせて適切な特性を得られる。
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ムルティストラーダシリーズがデュアルスパーク化したのに対し、ディアベルシリーズはシングルプラグ仕様。
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触媒付きのサイレンサーは、ステンレスにアルミエンドを組み合わた2本出し。パニアケース裏にはヒートガードを装備。
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近年のモデルに装備される騒音対策用のデバイス。排気バルブを開閉することによって、加速時の音量を下げる。
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日本仕様は ABS と DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)を合わせた DSP(ドゥカティ・セーフティ・パック)装備。
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フロントサスペンションはフルアジャスタブルで、タンデム時に工具なしでも減衰が調整できるノブが装備される。
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240サイズの極太リアホイールは、ディアベルダークやディアベルクロモと同じ 14本スポーク&ブラック塗装。
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ドゥカティといえば、片持ちスイングアーム。ナンバープレートホルダーがここから生えるスタイルは、他のディアベルと同様。
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リンク式のリアサスペンションがスイングアーム下に配置されているのも、ディアベルシリーズの特徴のひとつ。
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リアサスペンションのイニシャル調整はこのダイヤルノブで行う。これもディアベルシリーズ共通の装備だ。
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ハンドルの LCD 液晶にはスピード&タコメーター、燃料タンクの TFT 液晶にはモード切り替えなどをマルチに表示。
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他のディアベルに対し 15mm 高く、60mm も手前に引かれたハンドルは、手を伸ばした自然な位置にある。
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RbW(ライド・バイ・ワイヤ)によるスロットル操作は軽く、グリップヒーターも装備されているため、ライダーの負担は少ない。
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もはやツーリングモデルの必需品となった電源ソケットは、ヘラータイプを2個装備。1個目はハンドル下にある。
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2個目の電源ソケットはテールランプ下。電力を安定供給するため、ジェネレーターも強化されたものを備える。

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