【DUCATI ニューパニガーレV2プレス発表会】”軽さ”は正義!! パニガーレ史上最軽量モデル誕生!!
- 掲載日/2025年07月04日【トピックス】
- 取材協力/ドゥカティジャパン 取材・文・写真/小松 男

従来のパニガーレV2と比べて、エンジン単体で見ても9.5kg(約10kg!!)ものダイエットに成功。こう言っては何だが、2、3kgの減量さえもつらく感じる私とすれば驚愕的な数値! そんなに軽くて大丈夫!?
伝統のL(V)型ツインレーサーが
従来モデルとまったく違う仕上がりに!?
最高峰のレースであるMotoGPやWSBKなど数多くの世界選手権においてポディウムの頂点に立ち続けているドゥカティは、現在の二輪ロードレース界における王者ドゥカティと言って過言ではない。
そのドゥカティの市販ロードレーサーであるパニガーレシリーズのミドルクラスバージョンとなる”パニガーレV2”がフルモデルチェンジを受け発表された。 先だってドゥカティジャパンにてニューパニガーレV2の詳細を伝えるためのメディア向け説明会が行われた。
そもそもパニガーレV2の立ち位置の説明から始めよう。パニガーレV2の源流をたどると、1994年に登場した748というモデルに行きつく。この748は、当時WSBK(世界スーパーバイク選手権)参戦モデルだった916に対し、WSS(世界スーパースポーツ選手権)のホモロゲーションに合わせられたモデルだ。それはつまり市販レーサーを意味し、パニガーレV2もその血脈を受け継いでいるのだ。
以前は大排気量バージョンのパニガーレも2気筒エンジンだったが、2018年にV型4気筒レイアウトの“デスモセディチストラダーレ”エンジンを搭載したパニガーレV4が登場。2020年に新たなWSSホモロゲーションモデルとしてパニガーレV2が登場し、今回はそのパニガーレV2の新世代版となっている。
注目される最大のポイントは、従来モデルと比べて17kgもの軽量化に成功していることだが、それ以外の見どころも枚挙にいとまがない。
インテークバルブには中空ステムをドゥカティの市販車で初採用している。これにより慣性を5%軽減している。ちなみに今回のエンジンはデスモドロミック機構が廃止されている。
ドゥカティスペシャリストでありドゥカティジャパンアフターセールスダイレクターを務める森大樹夫氏から、新型パニガーレV2の詳細が説明される。従来モデルと比べもはや別物に仕上がっていることが良く分かった。
排気量やパワーは抑えられたが
多くのライダーがタイムを更新!!
”史上最軽量のパニガーレ”と謳われるニューパニガーレV2は、17kgものシェイプアップを実現しているのだが、一方で排気量を見てみると、従来モデルが955ccであったのに対して65cc小さい890ccに、最高出力は155馬力から120馬力まで抑えられている。
このスペックだけ確認すると”あれっ? グレードダウンしたのか?”と思われるかもしれないが、F1チームなどもテストを行うことで知られるヴァレルンガ・サーキットで行われた様々なスキルのライダーによるラップタイム計測を見てみると、その多くがタイムを縮めることに成功したということなのだ。
それはストレートでの速度こそ従来モデルに届かないものの、軽量化に加えて、扱いやすい特性であること、各種電子制御によりブレーキング、コーナーの進入、コーナリング、コーナーからの脱出という一連の流れが優れていることが挙げられる。
中でもライディングポジションに関してはハンドルセット位置が高くされており、今回の説明会で実車を見てみたところ、これなら上体の自由度が高く、タイトなコーナーでも振り回しやすそうだと思えるものだった。
ニューパニガーレV2のクラッチ。従来モデルに採用されていたものも用意してもらい比べてみたところかなりコンパクトになっていた。出力に対してバランスを取りつつ軽量化を図ったポイントの一つ。
ドゥカティと聞くと、ファビオ・タリオーニが生み出した強制開閉バルブ機構、デスモドロミックを思い浮かべてしまうが、昨今のドゥカティのエンジンでは採用しないものも増えてきており、今回のニューパニガーレV2もデスモドロミックは廃止されている。
かなり細身のスパークプラグはニューパニガーレV2に搭載される新型エンジン専用設計となっているということ。細部まで徹底したこだわりにより、最高の一台に仕上げられていることが伝わってくる。
ストリートからクローズドコースまで、
最高のスポーツライディングを楽しめる!!
すべてにおいて大幅刷新が行われたニューパニガーレV2は、どの部分を切り取っても、うならせてくれるような仕上がりとなっているのだが、ここで個人的に気になったポイントをいくつか挙げておくことにしよう。
まずはライディングポジションの変更で、セパレートハンドルは従来モデルと比べて高く、幅も広くセットされている上、ステップ位置もやや下げられている。つまり前傾姿勢は緩まっていることになり、これはきっとストリートを走る際にも扱いやすくなっていることだろう。
そして二つ目はリアサスペンションがリンクを持たないカンチレバーとなったことだ。リアタイヤの状況をライダーにしっかりと伝えつつトラクションの入り具合を高めるためにリンクを介することが多いのだが、ダイレクトにセットされたリアサスペンションがどのようなインフォメーションを行ってくるのか興味があるところである。
これまでのスーパーバイクシリーズの大排気量モデル、中間排気量モデルとの関係性を振り返ると、基本構成は共通のものとしながらエンジンの排気量を落としたり、足回りのセッティングを変更するなどのものだったが、今回のニューパニガーレV2においては、パニガーレV4とは違う形でアプローチをしてきている。
私的には中間排気量モデルの方が、普段使いからサーキット走行まで肩ひじ張らずに楽しむことができ、それが結果的に長く付き合うことができると考えていることもあり、今回のニューパニガーレV2もとても魅力を感じさせる一台となっている。
ヘッドライトやテールランプは、一目見ただけで”パニガーレ”だと伝わってくる特徴的なものとなっている。見るものに感動を与える美しいデザインもドゥカティらしさの大きなポイントとなっている。
旧型パニガーレ系のメインフレーム(左)とニューパニガーレV2のフレーム(右)を並べてみると、まったくもって作りが違うことが分かる。実際に手で持って重さを比べてみてもその差は歴然だった。
中空構造の鋳造アルミニウム製両持ちスイングアームは、先だって登場した現行パニガーレV4にヒントを得たもの。ケーシー・ストーナーがチャンピオンに輝いた頃のスーパーバイクはガチガチの剛性だったが、それは昔の話となった。
パッセンジャーシートが大型化され快適性も考慮されていることも、興味深いポイント。レーサーライクでありながら日常的な使い勝手もしっかりと考えられているのは、ストリートライダーにとって喜ぶべきことだ。
”S”バージョンには前後オーリンズ製のサスペンションがセットされる。カンチレバー方式となったことによる、リアサスペンションの感触が気になるところだ。
5インチTFTメーターディスプレイを採用。3種の表示スタイルを選ぶことが可能だ。なおクルーズコントロール、ターンバイターンナビゲーション、タイヤ空気圧モニタリングシステム、USBポートなどの機能も装備する。
ニューパニガーレV2の車両価格は211万9000円、サスペンションをはじめ上位グレードの装備が施されたニューパニガーレV2Sは240万8000円となっている。全国のドゥカティ正規ディーラーでニューパニガーレV2デビューフェアを開催中だ(記事掲載現在)。
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