VIRGIN DUCATI | 【ドゥカティ ムルティストラーダ V4 S 試乗記】これぞ、天の上を感じさせる極上のフィーリング!! 試乗インプレッション

【ドゥカティ ムルティストラーダ V4 S 試乗記】これぞ、天の上を感じさせる極上のフィーリング!!

  • 掲載日/2026年03月06日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男
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DUCATI MULTISTRADA V4 S
長年ドゥカティのデュアルパーパスセグメントの顔となってきたムルティストラーダ。2021年には従来のL型2気筒に加えV型4気筒モデルとなるムルティストラーダV4を投入。その現行モデルとなる『ムルティストラーダV4S』の本質を探る。

道を選ばずドゥカティワールドを満喫
それがムルティストラーダに課された使命

スーパーバイクで培われたパフォーマンス、スポーツネイキッドの軽快さ、長距離ツアラーの快適性、そしてアドベンチャーモデルとしての走破性――それら本来は相反する要素を、ひとつのパッケージとして成立させる。 それがムルティストラーダという存在の根幹にある思想だ。

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ドゥカティにとって「速さ」や「情熱」は不変の価値である一方、ライダーの行動範囲を広げることもまた重要なテーマとなってきた。 舗装路でもワインディングでも、高速巡航でも、そして時には未舗装路でさえも、ドゥカティらしい走りを失わないこと。

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ドゥカティにとって「速さ」や「情熱」は不変の価値である一方、ライダーの行動範囲を広げることもまた重要なテーマとなってきた。 舗装路でもワインディングでも、高速巡航でも、そして時には未舗装路でさえも、ドゥカティらしい走りを失わないこと。

ムルティストラーダV4S 特徴

20年以上に渡るムルティストラーダの歴史
大きな転換期は2度訪れた。

その登場は衝撃的だった。

2003年、ドゥカティの歴史に名を刻む奇才デザイナーのひとり、ピエール・テルブランチによって創造された初代ムルティストラーダ1000DSがリリースされたのである。

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当時のドゥカティらしい美しいトレリスフレームと空冷Lツインエンジンを採用し、タンクからシートカウルにかけてはロードスポーツ的な造形でありながら、バーハンドルによるアップライトなライディングポジション、防風性能を意識したフロントマスクを備える。そして前後17インチホイールを履きながら、ストローク量に余裕を持たせたサスペンションを組み合わせていた。

見るからに“異端”。

それが初代ムルティストラーダを前にした第一印象だった。

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実際に走らせると、デスモドロミック機構を備える空冷Lツインの快活なフィーリングと、豊かに動く足まわりが高次元で融合。結果としてスーパースポーツに匹敵、あるいはそれ以上にワインディングロードを楽しめるモデルに仕上がっていたこともよく覚えている。

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ムルティストラーダが最初の大きな転換期を迎えたのは2010年である。ドゥカティ専門誌を手掛けていた筆者にとっても、その変化は鮮明な記憶として残っている。猛禽類を思わせるフロントフェイス、流麗なボディライン、そしてスーパーバイク直系のテスタストレッタ11°(イレブンディグリー)水冷Lツインエンジンを搭載した2代目ムルティストラーダ1200が登場したのだ。

走りは従来モデルを大きく凌駕し、電子制御サスペンション「ドゥカティ・スカイフック・サスペンション」をはじめとする先進電子制御を積極的に導入。以降、ドゥカティ最新テクノロジーを最初に体現するモデルとして、ムルティストラーダの立ち位置は明確になっていく。

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そして2021年、ムルティストラーダは第二の転換期を迎える。水冷V4グランツーリスモエンジンを搭載したムルティストラーダV4の登場である。デスモセディチ由来のV4レイアウトでありながら、ロングツーリングを視野に入れた扱いやすさと耐久性を両立。なめらかで力強いパワーデリバリーと優れた快適性を高次元で融合させ、瞬く間に世界的なヒットモデルとなった。

それでは2025年にブラッシュアップを受けたムルティストラーダV4Sにじっくり触れながら、最新モデルがどのような進化を遂げ、どのような乗り味へと到達したのかを探っていこう。

ムルティストラーダV4S 試乗インプレッション

確実なるサスペンションの進化
極上の乗り味をどの道でももたらす

2025年モデルでブラッシュアップを受けた現行ムルティストラーダV4S。外観上の変更は最小限に留められており、一見すると従来モデルとの差は分かりにくい。既存オーナーにとっては安心材料とも言えるが、その中身には着実かつ実用的な改良が積み重ねられている。

実車を前にしてまず印象的だったのは、想像以上に感じられるシート高の低さだ。ドゥカティジャパンで車両を受け取った際、思わず「シートが低くなりましたね」と担当スタッフに口にしてしまったほどである。

その理由は、新たに採用された自動ローダウン機能にある。停車時および低速走行時(約10km/h以下)に電子制御サスペンションが車高を自動的に下げ、足つき性を向上させるシステムで、シート高は790〜810mm相当まで低下する。大柄な車体を持つムルティストラーダV4Sに対する心理的ハードルを大きく下げ、ライダーとの距離を一気に縮めてくれる装備と言えるだろう。

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走り出せば車高は自然に復帰し、本来の豊かなサスペンションストロークを確保。サスペンション設定は手元のスイッチで細かく調整できるが、完成度の高いオートモードの制御が秀逸で、試乗中は結果的にそのまま任せる場面が多かった。路面状況や走行ペースに応じて減衰力が滑らかに変化し、ライダーはセッティングを意識することなく走りに集中できる。

エンジンマネジメントの進化も見逃せない。V4グランツーリスモエンジンには、一定条件下で後方バンクの2気筒を休止させる気筒休止システムが採用されており、巡航時の燃費向上と発熱低減に貢献している。作動は極めて自然で、切り替わりを意識させることはほとんどない。一方で加速が必要な場面では、スロットルを開けた瞬間に4気筒が即座に目覚め、従来モデル同等、あるいはそれ以上に感じられる力強いパフォーマンスを発揮する。

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市街地を走らせても、その車格から想像するような大きさや重さを感じさせない。軽快で扱いやすく、なおかつ快適性も高い。このカテゴリーのモデルはロングツーリング性能ばかりが注目されがちだが、ムルティストラーダV4Sは日常域でも完成度の高さを実感できる。通勤や街乗りでさえ「移動」が楽しみに変わるあたりに、このモデルの懐の深さがある。

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高速道路に入り、郊外のワインディングロードを目指す。ここで真価を発揮するのがレーダー制御によるアダプティブクルーズコントロールだ。交通の流れを検知しながら自動で車間距離を維持するその制御は極めて自然で、長距離移動の疲労を大きく軽減してくれる。あまりに快適で、思わず時間の経過を忘れてしまうほどだ。しかしひとたびスロットルを開ければ、最高出力170馬力を誇るV4エンジンが即座に応答し、景色を一瞬で後方へ押しやる加速性能も兼ね備えている。

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ツイスティなワインディングに入ると、進化したドゥカティ・スカイフック・サスペンションの完成度が際立つ。フロント側のセンサーが路面からの入力を検知し、前後サスペンションをリアルタイムで最適化。路面の継ぎ目やうねりを越える際も挙動は常に穏やかで、車体は乱されることなく滑らかにラインをトレースしていく。

ロングストロークサスペンション特有のしなやかな初期作動と、奥でしっかり支える粘り強さが共存しており、コーナリング時の安心感は非常に高い。スポーティに切り返せば瞬時に引き締まり、ペースを上げても車体は安定したまま。一方で未舗装路では路面状況を柔軟に受け止め、ライダーへ過度な緊張を強いることがない。

そもそも私は、フロント19インチ/リア17インチというタイヤサイズがもたらすハンドリング特性を好んでいる。フロント17インチほどクイックではなく、21インチほど慣性も大きくない。オフロード走行において劇的なメリットを感じるサイズではないものの、その領域は電子制御サスペンションによって補完されている。

この幅広い適応力こそ、ムルティストラーダV4Sが掲げる「どんな道でも楽しめる」という思想を最も体現している部分だろう。

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約1週間にわたる試乗期間を通して、不満に感じる要素は見当たらなかった。日本語表示に対応したメーターディスプレイは視認性と操作性に優れ、ライディングモードの切り替えや各種セッティングも直感的に行える。乗り込むほどに車両への理解が深まり、それに比例して楽しさが増していく。そんな関係性を築ける一台に仕上がっている。

スタンダードモデルであるムルティストラーダV4が279万8000円であるのに対し、V4Sの車両価格は353万2200円と決して安価ではない。しかし電子制御サスペンションを中心とした装備の充実度、そしてあらゆるシーンで感じられる走りの質感を考えれば、その価格差以上の価値と所有満足度が確かに備わっていると感じられた。

ムルティストラーダV4S 詳細写真

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V4グランツーリスモエンジンを搭載するムルティストラーダV4S。滑らかさと力強さを高次元で両立し、長距離ツーリングからスポーティな走行まで幅広く対応する。気筒休止機構の採用により、快適性と燃費性能の向上も実現している。
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フロントには19インチホイール(120/70 ZR19)を採用し、オンロードでの安定性と悪路走破性を高次元で両立。電子制御式ドゥカティ・スカイフック・サスペンションが路面状況をリアルタイムで検知し、常に最適な減衰力へ自動調整することで、しなやかで安心感の高いハンドリングを実現している。
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2025年モデルでもフロントマスクの基本デザインは継承され、シャープで精悍な表情はそのままに熟成が図られている。高さ調整が可能な可倒式ウインドスクリーンは手動操作で素早く変更でき、走行シーンに応じた快適な防風性能を確保する。
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V4グランツーリスモエンジン周辺には大型ラジエーターと整流効果を意識したフィン形状のカバーを配置。走行風を効率よく導き冷却性能を高めるとともに、ライダーへの排熱低減にも配慮された機能的なレイアウトとなっている。
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ライダーシートは自動ローダウン機構と組み合わせることで足つき性を向上し、大柄な車体ながら安心感の高いポジションを実現。パッセンジャー側にはシートヒーターや大型グラブバーを備え、タンデム走行時の快適性と安心感にも配慮されている。
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6.5インチフルカラーTFTメーターディスプレイを採用し、高い視認性と情報量を両立。スマートフォンと連携できるうえ、日本語表示にも対応しており、ライディングモード切替や各種電子制御の設定も直感的に操作できるなど、ツーリング中の扱いやすさにも優れている。
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左側スイッチボックスにはライディングモード切替をはじめ、サスペンション設定やクルーズコントロール操作など多彩な機能を集約。直感的な操作系により走行中でも扱いやすい。ハンドガードは標準装備とされ防風性とプロテクション性を高めている。
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燃料タンク上部にはスマートフォン収納用ボックスを装備。内部にはUSB電源を備えるほか冷却用ファンも内蔵され、ナビなどのアプリ使用時の発熱対策にも配慮されているなど、ツーリングでの実用性を高めた装備となっている。
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リアには17インチホイール(190/55 ZR17)を採用。装着タイヤは高いオンロード性能を重視したピレリ製スコーピオン・トレイルⅡ。肉抜き加工が施された片持ち式スイングアームは軽量化と剛性バランスを両立し、スポーティかつ安定感のある走りに貢献している。
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シャープに絞り込まれたテールセクションは軽快感を演出するとともに、LEDテールランプが高い被視認性を確保。後方レーダーセンサーを内蔵し安全性を高めるほか、堅牢なグラブバーはキャリアベースも兼ね、ツーリングユースへの拡張性にも配慮されている。
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フロントフォークと連動する電子制御式ドゥカティ・スカイフック・サスペンションを採用。走行状況や路面入力をセンサーが検知し、減衰力をリアルタイムで自動調整することで、快適性とスポーツ性能を高次元で両立。幅広いシーンで安定したトラクション性能を発揮する。
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クイックシフターを装備し、クラッチレバー操作なしでスムーズなシフトアップ/ダウンが可能。ステップラバーは取り外し式となっており、オフロードブーツ使用時には高いグリップ力を確保できる実用的な設計となっている。

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