VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ハイパーモタード950を試乗インプレッション!驚くほどスマートで刺激的な一台 試乗インプレッション

ドゥカティ ハイパーモタード950を試乗インプレッション!驚くほどスマートで刺激的な一台

  • 掲載日/2020年12月22日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男 
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DUCATI Hypermotard 950

他に類を見ない独特のセグメント
これぞドゥカティと感じさせる運動性能

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スーパーモタードとは1990~2000年代初頭の欧州、特にフランスを中心に広がったムーブメントで、前後17インチタイヤに換装したモトクロッサーを使い、ダートセクション、ターマックセクションが織り交ざるコースで競われるレースを元に生まれたバイクジャンルでありスーパーモトなどとも呼ばれる。さらに遡れば、日本でも似たような恰好でターミネーターやスーパーバイカーズなどというスタイルがあったが、スーパーモタードの方が市街地さながらの狭いコースを使い派手にドリフトをさせながら走り回ることがライダーに注目され、世に広く知れ渡ったのだと言えよう。

ドゥカティのハイパーモタードは、上背が高く前後17タイヤを採用したというスタイリングからもスーパーモタードにインスパイアし生み出されたと言えるが、大きく異なるのはオフロードモデルをベースとして作られているのではなく、オンロードバイクを基本にスーパーモタードライクなディメンションを生み出している点だ。あくまでもロードスポーツモデルとして纏められている。

ハイパーモタードは1100DSエンジンを搭載した初代に始まり、兄弟モデルとして796が追加され、2013年に登場した2代目では水冷821ccエンジンを採用。2016年モデルからは937cc水冷テスタストレッタ11°(イレブンディグリー)エンジンとなっていた。そしてここでは2019年から現行モデルとなったハイパーモタード950を紹介する。

ハイパーモタード950の特徴

従来モデルと比べ扱いやすいものの
その中身は凶暴そのもの

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ドゥカティに在籍していたモーターサイクルデザイナーで、最も著名なのは、マッシモ・タンブリーニであることに異論を唱える者はいないだろうが、そのタンブリーニが去った後、ドゥカティのラインナップにおいてデザインの方向性を色づけたのは、ピエール・テルブランチに他ならない。かの名車マイクヘイルウッドレプリカへのオマージュを感じさせるMH900eにはじまり、縦置き2灯という前にも後にもないデザインとされたスーパーバイクモデル999系、丸みを帯びてどこか有機的な印象を受けるSS900やST2系、今もその名を残すもののがらりとイメージが変わってしまった初代ムルティストラーダもテルブランチの作品だ。そんなテルブランチがドゥカティ在籍時の最後に手掛け、世の中に出されたのが、2007年に登場した初代ハイパーモタードだったのである。

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ドゥカティお得意の美しいトラス組が施されたメインフレーム及びシートフレーム、そこに強烈なパワーを持つLツインデスモエンジンを抱えるという定石的な手法を取りながらも、シャープで躍動的なフォルム、乗る者を拒むかのような高いシート、十分なストローク量を与えられた前後サスペンション、そして何よりもベネチアのカーニバルで使われるようなペスト医師のマスクを連想させる独特かつ美しいフェイスデザインは、世の中のライダーを魅了するに充分なキャラクターとなっていた。そのハイパーモタードは意匠を大きく変えられることなく、今も進化し続けており、テルブランチが込めた想いが脈々と繋がっているということなのである。

ハイパーモタード950の試乗インプレッション

振り落とさんとばかりの強烈な加速
ドリフトも許容する高いスタビリティ

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私はスペシャルバージョンなど派生モデルを除けば、歴代ハイパーモタードのテスト経験を持つ。初代にあたるハイパーモタード1100は、当時多くのモデルで使われていた1100DSエンジンは、それ以前の空冷Lツインに比べれば、かなり良く調教されているものだったが、低回転時のギクシャク感があり、ゆっくりと流すように走ることが苦手だった。それに引き換え弟分の796は全体的なバランスが良く、普段乗りのマシンとしてとても纏まっていた。2013年に登場し水冷Lツインエンジンが採用された2代目は、エンジンマネジメントが煮詰められ、より一層乗りやすくなっていたのが印象に残る。その一方で、モンスターやストリートファイターなど、ドゥカティラインナップの中でのキャラクターの差別化というものが曖昧になりつつある感じもあった。そして今回テストを行う現行ハイパーモタードへと続くのである。

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まずスタイリングからして原点回帰している部分が見受けられる。例えばシートフレームがトラス形状とされている部分や、シート下に2本出しとされたマフラーなどが、それにあたる。従来モデルではマフラーは車体サイドに、シートフレームはアルミダイキャストとされていたのだが、初代ハイパーモタードのスタイルに戻されている。

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跨ってみると、相変わらずかなり着座位置が高い。スペックでは870mm、車体がスリムなので、真下に足を下せるし、体重をかけてサスペンションを沈めれば、足は接地するものの、降りるときには抜重と共にサスストロークが伸びて、シートもついてくる。なので触れはじめは若干緊張するかもしれないが、178kgという乾燥重量は、相応に軽く、一度乗り出してしまえば、ハイパーモタードならではの軽快なフットワークに酔いしれることだろう。

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走り出してまず気が付いたのは、低回転時のエンジンマネジメントだ。従来モデルもかなり扱いやすくなっていたが、それよりも1000回転低い場所からもスムーズだ。具体的には2000~3000回転でもぐずつかず、そこから上5000回転程度までが常用域とされ、そこまで回せば十分にスポーティな走りを満喫することができる。ただし、そこはまだエンジンキャパシティの半分未満だということをお忘れなく。5000回転を越すとさらに強烈、いや凶暴とも言えるほどの加速感を味わうことができる。実際に高速道路で不意にスロットルを捻り、後ろに振り落とされそうになったことを告白する。扱いやすくはあるが、それでも本質はドゥカティ。甘くはないのである。

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ずば抜けた運動性能と、高いアイポイントから得られる広い視界により、市街地、高速では負けなしと言えるほど快活な走りを楽しむことができた。そしてそのままワインディングへと進んでゆく。初冬の季節がら落ち葉が散乱し、スリッピーな路面ではあるが、アップライトなポジションはそのような場面にめっぽう強く、リーンアウトポジションで車体を着実にコントロールさせてライディングを楽しめる。競技用カヌーのオール、いや両刃の槍を振り回すかのごとくステアリングバーを立てて、コーナーをパスしてゆく、そのエキサイティング感、汗かき具合はまさにアスリートスポーツそのもののだ。何よりも心強く感じたのは、高いグリップ力を持つフロントタイヤ、そしてそのように仕向けてくれる良く動くフロントフォークだ。上半身が立ったライディングポジションを強いられるハイパーモタードは、どうしても後方に荷重を持っていかれがちになる。さらに強力なエンジンパワーのおかげで、コーナーリング中にスロットルを開けようものなら、フロントの接地感は一気になくなる。というのが当たり前であり、現にそうなのだが、ハイパーモタード950のフロントタイヤは、しっかりと路面を掴んで離さない。特に高速コーナーでは、ここまでしても大丈夫かと思わせるほど、高いスタビリティを感じさせてくれた。スタンダードモデルでこれほどなのだから、オーリンズ製の足まわりが奢られた上級モデルのハイパーモタード950SPでは、さらなるポテンシャルを得られることだろう。

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ライディングモードはアーバン、ツーリング、スポーツの3種類が設けられており、それぞれパワーやABS、ウイリーコントロールなどプリセットされているが、どのモードで走ってもハイパーモタード950の性格は変わらずエキサイティングだ。さらにハイパーモタード950は、純粋に走らせたくなるという麻薬的な魅力も併せ持っている。ただそれほど強烈なだけあって、ヘルメットを脱いだら髪の毛がすべて白髪になっているのではないかという程、ド級の刺激だ。

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旧ハイパーモタードも良かったが、ハイパーモタード950は確実に熟成されており、間違いなく最も良い状態になっている。

ハイパーモタード950の詳細写真

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総排気量937ccのテスタストレッタ11°(イレブンディグリー)Lツインエンジンを搭載。最高出力の114馬力は9000回転で、最大トルク96Nmは7250回転で発生させる。どの回転からでも強烈なパンチ力を得られる快活なセッティングとされている。
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フロントタイヤには120/70ZR17サイズのピレリ製ディアブロ・ロッソ3を採用。ブレーキはブレンボ製4ピストンモノブロックキャリパーを、フロントフォークにラジアルマウント。それをダブルで備え強力な制動力を誇るうえに、コーナーリングABSも装備している。
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ひと目見ただけで、ドゥカティ・ハイパーモタードだと分かるフロントフェイス。ヴェネツィアのカーニバルで見られるペスト医師の仮面を連想させるデザインとなっている。ヘッドライトはメインをハロゲンバルブ、その左右に面発光LEDを配置している。
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インストゥルメンタルディスプレイには、4.3インチのTFTカラー液晶ディスプレイを採用。スピードメーター、タコメーター、シフトインジケーターなど、常に必要とされるインフォメーションの視認性が良い。ウイリーコントロール作動時などは、メーター上のフラッシュが点滅発光する。
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着座位置のほぼ真下に配置されたステップは入力がしやすく、コーナー時に車体を制御するのによい位置にある。上位モデルであるSPには、ドゥカティ・クイック・シフトが装備されているが、クラッチレバーの動作は軽く、スタンダードでもストレスはない。
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プリロード及び伸び側減衰調整機構を持つザックス製リアサスペンションを備える。フレームとスイングアームをプログレッシブリンクで繋ぐ。かなり寝かされて設置されていること、着座位置とフレーム取り付け位置の関係性などから、後輪からのインフォメーションは独特なもの。
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モデルを重ねるごとに、形状が洗練されてきている印象を受けるシート。870mmというシートはかなり高いが、細くシェイプされているということもあり、両足を接地させようと思わなければ、さほど不便は感じられない。
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ほぼまっすぐな形状のバーハンドルに、シンプルなスイッチボックスを組み合わせる。ライディングモード選択なども容易で、シチュエーションや気分に合わせて色々と楽しむことができた。ハンドガードにはフロントウインカーが内蔵されている。
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新設計とされるマルゾッキ製φ45mm倒立フォークを採用。フルアジャスタブルタイプであり、フォークトップで減衰力などのセッティングができる。トラベル量は170mmと多く、従来のフォークと比べて500グラム軽量化されている。
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再び初代ハイパーモタードのようにシート下に、2本出しとされたサイレンサーもハイパーモタード950の特徴であり、ドゥカティのLツインサウンドをしっかりとライダーへ伝える。リアウイング形状とされたミニマムなテールランプも目を惹く。
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スタンダードモデルには軽合金製のY字3本スポークホイールが採用されている。片持ちタイプのスイングアームのため、ホイールデザインが目立つ。なおSPモデルは、マルケジーニ製鍛造アルミW字3本スポークホイールが使われている。
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パッセンジャー側のシート、ステップも用意されているため、タンデム走行もできる。タンデムステップは取り外しができるようにされている。ステップステーもトラス形状でデザインされている点にも注目したい。
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メインフレーム、シートフレーム共にトラス形状とされている。燃料タンク容量は14.5リットル。全体的なデザインに合わせたコンパクトな形状で作られている割には、かなり入る方だ。
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高い剛性力を誇る片持ちタイプのスイングアームと、その間をくぐらせるチェーンドライブという構成のリア周り。高いデザイン性もさることながら、注油やチェーンアジャストなどのメンテナンス性も良さそうだ。

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