VIRGIN DUCATI | ドゥカティエンジンの代名詞ともなっている「デスモドロミック」とは何ですか? ドゥカティQ&A

ドゥカティエンジンの代名詞ともなっている「デスモドロミック」とは何ですか?

  • 掲載日/2009年02月13日【ドゥカティQ&A】
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エンジンの吸排気バルブをカムによって
強制的に開閉する機構のことです。

レースに勝つために採用された
デスモドロミック機構

1955年、ドゥカティが華々しいレース活動を行う一方で、重役兼主任設計者であったファビオ・タリオーニは、激戦が予想された1956年のグランプリで勝つために2つの新型エンジンを完成させました。そのひとつが大学時代から着目していたデスモドロミックを採用したエンジンだったのです。

1950年代、レーシングエンジンを設計する上でバルブスプリングの取り扱いは非常にシビアなものでした。通常の4ストロークエンジンの場合、吸排気バルブはカムシャフトの山に押されることで開き、スプリングの反発力によって閉じられます。しかし、レース用の圧縮比の高いエンジンの場合、ピストンとバルブの間のクリアランスは極僅か。限界回転数のオーバーなど、ライダーの僅かなミスによってバルブの駆動がエンジンの回転に追従できなくなりピストンと接触、曲がってしまうという危険性をはらんでいました。この、いわゆる「バルブサージング」を起こす限界回転域を高めるためには、バルブを閉じるスプリングを強くするという方法が考えられますが、それはバルブの駆動抵抗、ひいてはエンジンの回転抵抗を増してしまい、かえって高回転化の妨げとなってしまいます。このジレンマを解決するためにタリオーニが採用したのがデスモドロミックというわけです。

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ただでさえ複雑な水冷4バルブDOHCの最新エンジンにも「デスモ」を採用。写真は1098Rのエンジン。

デスモドロミックがもたらす
戦闘力と数々のメリット

デスモドロミックの基本的な考え方は、吸排気バルブを開く方向だけではなく、閉じる方向もカムによって強制的に制御しようというもの。バルブの密着度を高めるために弱いスプリングが組み込まれているものの、原理的にはバルブスプリングが不要で厄介なバルブサージングとも無縁です。また、バルブが正確に駆動するので、カム形状を大きく変更できるというメリットもあります。グランプリマシン用に開発された最初の125ccデスモドロミック・エンジンは、バルブの閉じ専用のカムシャフトを追加したトリプル・カムシャフト方式という複雑なものでしたが、ライダーが誤って15,000rpmまで回転を上昇させてもバルブ作動に支障をきたさない高性能を実現。1956年のスエーデンGPでは2位以下を周回遅れにしてデビューウィンを飾るという快挙を成し遂げたのです。その後、ドゥカティは開発を進め、ついにデスモドロミックを搭載した市販車「マーク3D」を1968年に発売。開閉のための4つのカムを並べ、1本のカムシャフトにまとめる技術の確立とともに、シビアなタイミング調整も不要となり量産も可能となりました。以降、デスモドロミックはドゥカティエンジンになくてはならない機構となっていくのです。

なお、デスモドロミック機構自体はドゥカティ独自の技術ではなく、20世紀の初頭には開発されていたとされ、過去にはメルセデスベンツが一部のエンジンで採用していたという歴史もあります。しかし、現在では、「デスモドロミック」といえばドゥカティを思い出すほど、象徴的な技術であることは確かです。

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1098Rのヘッド内部。特殊なカムシャフトとロッカーアームを駆使してバルブを強制開閉する仕組みがわかる。
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1098Rではスーパーフィニッシュ処理された大小8本のロッカーアームが気筒あたり4本のバルブを制御している。

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