VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ハイパーモタード939 試乗インプレッション

ハイパーモタード939の画像
DUCATI Hypermotard 939

ドゥカティ ハイパーモタード939

  • 掲載日/2016年07月20日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  取材・文/中村 友彦  写真/Ducati Japan、VIRGIN DUCATI.com 編集部

ハイパーモタード939の試乗インプレッション

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シリーズ3車のハンドリングは各車各様だが、
他のドゥカティでは味わえない、軽快さとシャープさは全車に共通

インプレの冒頭でこういうことを書くのもお恥ずかしい話だが、実は僕のハイパーモタードに関する経験は、2012年に乗った空冷モデルで止まっているので、従来型と新型の相違点を語ることはできないのだった。試乗会場で旧知のテスターに新型の印象を聞いてみると、“エンジンが扱いやすくなった”、“常用域のトルクが太くなった”などという話が出て来たものの、従来型と別物になったかと言うと、そこまでではなさそう。もっとも今回のモデルチェンジの主な目的は、欧州の新しい排出ガス規制であるユーロ4に対応することだから(排気量を変えずにユーロ4をクリアしようとすると、最高出力/最大トルクが低くなってしまうようだ)、別物になる必要はまったくないのだが、新型でエンジン以外の変更点が少ないのは、このシリーズに対するドゥカティの自信の表れなのかもしれない。

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さて、そんなわけで以下の文章では、僕の水冷ハイパーモタード初体験記をお届けするのだが、シリーズ3車をとっかえひっかえしながら乗った僕の率直な印象は、“ハンドリングがとにかく軽くて、コーナー進入時の感覚がシャープ”だった。もちろん、足まわりの構成が異なるSTDとSPとストラーダでは、実際の感覚は違うのだけれど、例えば排気量や車重が近い959パニガーレやモンスター821などと比較すると、3車の動きはいずれも軽快かつシャープ。ただし、足つき性を重視してローシートを標準とした日本仕様のSTDとSPは、本国仕様より座面が20mm低くなったことで、ライダー込みの重心が下がっているだけではなく、着座位置の自由度がかなり少なくなっているので(ストラーダのシートも自由度は少ないが、座面高は本国仕様と同じ810mm)、ハイパーモタード本来の軽快さとシャープさは、僕が感じた印象より上……のような気がする。

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基本構成を共有する3台のハイパーモタードの中で、僕が最も親しみやすいと感じたのはストラーダだ。その一番の原因は、ストロークが短めでコントロールがイージーな前後サスだと思うものの、ハンドルグリップがSTD/SPより20mm高く設定され、パニアケースやグラブバー、センタースタンドなどの装備よって、主に車体後半が重くなっているこのモデルには、兄弟車とは一線を画する優しさと穏やかさが備わっている。逆に言うならストラーダは、スーパーモタードテイストが希薄なのだが、ミドル版ムルティストラーダと言いたくなる特性に、好感を持つ人は少なくないはずだ。その一方で最も手強さを感じるモデルは、普通に考えれば前後サスストロークが相当に長いSP……になりそうなものだけれど、良質なダンパーのオーリンズ製前後ショックが姿勢変化をわかりやすく伝えてくれるうえに、サーキットを視野に入れたフロントブレーキのタッチが絶妙なものだから、僕にとってのSPは、むしろSTDより乗りやすく感じられた。もっとも、だからと言ってSTDが乗りづらいわけではないのだが、明確な目的意識を感じるSPやストラーダと比較すると、STDのキャラクターは少々中途半端である。と言っても、その中途半端さに対する解釈は人それぞれで、“いいとこ取り”と捉えるか、“どっちつかず”と考えるかで、STDに対する評価は変わってくるだろう。

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6シリーズ・29車種が並ぶ現在のドゥカティのラインアップの中から、決して王道とは言えないハイパーモタードを選ぶのは、なかなか勇気がいる行為かもしれない。とはいえ、このモデルに他のドゥカティでは味わえない、唯一無二の魅力が備わっているのは事実で、その魅力にハマってしまうと、他車には乗れなくなる……という説もあるらしい。ちなみに、日本市場ではまだ支持層が少ないハイパーモタードだが、イタリア本国を筆頭とするヨーロッパでは、販売台数ランキングの上位に、このモデルが顔を出すことも少なくないようだ。

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