VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ムルティストラーダ1200エンデューロ 試乗インプレッション

ムルティストラーダ1200エンデューロの画像
DUCATI Multistrada 1200 Enduro

ドゥカティ ムルティストラーダ1200エンデューロ

  • 掲載日/2016年07月05日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  取材・文/河野 正士  写真/Ducati Japan

独自の手法でアドベンチャーカテゴリーを
切り開いてきたドゥカティの新機軸

ムルティストラーダは、スポーツブランドであるドゥカティが、新しいツーリングスポーツモデルのカタチを追求し、育ててきたモデルだ。オンロードとオフロード、もしくはスポーツとツーリングという、対極し隣接するふたつの道を分け隔てなく走ることができるマシンを総称した“デュアルパーパス”というカテゴリーにアプローチしたのが、初代モデルを含む、空冷エンジンを搭載したムルティストラーダだった。そして2010年から販売がスタートした、スーパースポーツモデル/1198系の水冷エンジンを搭載したムルティストラーダ1200は、当時の二輪市場はまだ懐疑的だった電子制御技術を積極的に取り込み、またスーパースポーツ系のエンジンを使用しながら、エンジンのバルブオーバーラップを大幅に狭めた“テスタストレッタ11°(イレブン・ディグリース)”を採用することで、スポーツ/ツーリング/アーバン/エンデューロという4つのキャラクターを1台のマシンに閉じ込めた“4 Bikes in 1”コンセプトを造り上げた。

その新世代ムルティストラーダとなってから、今回紹介する「ムルティストラーダ1200エンデューロ」は2度目のモデルチェンジというか、2回目のターニングポイントといえる。最初は2013年モデルに採用されたセミアクティブサスペンション/DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)だ。それまでは4つの走行モードに合わせ、サスペンションセッティングが自動的に変更され、そのセッティングも調整することができた。DSSは4つの走行モードに合わせて変化するサスペンションセッティングとそれをベースに調整したセッティングを、さらに走行状況に合わせて自動的&連続的に調整を繰り返し“空から吊されている(=スカイフック)”ようなフィーリングで走行できるというものだ。また同時にDTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)やABSとの連携はさらに進化し、快適さと安全性が大幅に高められたのである。

そしてふたつ目が今回紹介する「ムルティストラーダ1200エンデューロ」だ。最大の変化はフロントに19インチホイールを装着したこと。これまで前後17インチで、アドベンチャーカデゴリーを切り開いてきたムルティストラーダにとってこれは大きな変化であり、“4 Bikes in 1”コンセプトのさらなる進化と言える。

ムルティストラーダ1200エンデューロの特徴

ムルティストラーダ1200エンデューロの画像

フロント周りを中心にディメンションを変更
ギア比もショート化し扱いやすさも向上

最大の特徴は、やはりフロントに採用した19インチホイールだ。もちろんそれは、オフロードにおける走破性を高めるためだ。その本気度がよく分かるのが、1200エンデューロのリリースに合わせ、ピレリと共同開発したオフロードタイヤ「ピレリ・スコーピオンラリー」をオプションでラインナップしたことだ。ドゥカティとピレリは蜜月の関係にあり、とくに“4 Bikes in 1”コンセプトを謳うムルティストラーダの開発には、タイヤというファクターは非常に重要で、ピレリも多大なるサポートを提供している。今回の「ピレリ・スコーピオンラリー」も、1200エンデューロの発表とともにローンチされた新タイヤだ。

ムルティストラーダ1200エンデューロの画像

またオフロードにおけるパフォーマンス向上のため様々な変更が施されている。フロントアクスルは約16mmオフセットされたリーディングアクスルを採用。キャスターアングルは24→25度に変更。それによりトレールは106→110mmに、ホイールベースは1529→1556mmへと延長されている。

ムルティストラーダ1200エンデューロの画像

前後サスペンションストロークは170→200mmとなり、最低地上高は31mmアップの205mm。そしてスイングアームが片持ちから両持ちタイプへと変更されている。これは汎用性の高いパーツを使用することでメンテナンス性の向上を狙ったもの。たとえば出先でパンクなどのアクシデントに遭遇した際、一般的な工具を使ってトラブルシューティングができように、という考え方がベースになっている。そしてオフロード走行を考慮しギア比も変更されている。具体的には1速をショート化するとともにファイナルレシオもショート化し、悪路での走破性を高めるとともに低速域でも快適性を向上させている。

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