VIRGIN DUCATI | ドゥカティのストリートファイターV2を試乗インプレッション!スーパーバイクの血統を受け継ぐサラブレッド 試乗インプレッション

ドゥカティのストリートファイターV2を試乗インプレッション!スーパーバイクの血統を受け継ぐサラブレッド

  • 掲載日/2022年08月31日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男 
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DUCATI Streetfighter V2

今もなおストリート最強であり続ける
ドゥカティが手塩に掛けた名機

バイクカスタムにおける一つのジャンルとして広がったストリートファイターセグメント。そもそも、フルカウルモデルからカウルを取り去り、バーハンドル化することで、込み入った市街地での機動性を高めるというもので、現代版カフェレーサー的なムーブメントとして巻き起こった。

ドゥカティが初代ストリートファイターを発表したのは、2009年のEICMA(ミラノショー)でのこと。エンジンやフレームなどを当時のフラッグショップモデルだったスーパーバイク1098をベースに、デチューンしたものを用いたカウルレスモデルで、登場後にすぐにテスト試乗したがドゥカティらしい高い運動性能を持ちながらも、ライダーに相応のスキルを求めてくるエキスパートマシンだと感じたものだった。それから干支で言えば一回りした今年上陸した最新モデル、ストリートファイターV2はどのような感触になっているだろうか。

ドゥカティ ストリートファイターV2の特徴

美しいプロポーションは、
見る者すべてを魅了する

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ドゥカティは「ワールドプレミア2022」というニューモデルのヴァーチャル発表会を、2021年7月から12月までエピソード6に分けて開催した。その中の11月12日に開催されたエピソード4において、今回取り上げるストリートファイターV2と、ストリートファイターV4 SPが発表された。

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パニガーレV2からカウルを省き、ワイドなバーハンドルをセットしたストリートファイターV2は、滑らかなボディラインを描きながらも、獰猛で筋肉質な要素も持ち合わせている。エンジン部もカバーをデザインすることで、トータルで見たスタイリングを上手く纏め上げている。次々と発表されたニューモデル陣の中でも、際立って美しいプロポーションが与えられたストリートファイターV2は、世界中のライダーの目を惹きつけることとなった。

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心臓部にはユーロ5に適合した955ccスーパークアドロVツインエンジンを搭載、最高出力155馬力を10750回転で、最大トルク101.4Nmを9000回転で発生させる。これほどまでのポテンシャルを備えながら、車重は何と178キロに抑えているのだから、パワーウエイトレシオはかなりのものだ。ストリートでのスポーツユースに照準をあててさらに進化したストリートファイターV2、その感触を探っていこう。

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ドゥカティ ストリートファイターV2の試乗インプレッション

根っこはブレずにスパルタン、
向上心あるライダーに挑戦

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アスリートのように引き締まったスタイリングを持つストリートファイターV2を初めて目の前にした時、思わず惚れ惚れとしてしまった。ストリートファイターV4に幾度か触れたことがあったが、よりシャープな印象だ。

車体に跨るとシートもステップも高く、これがスーパーバイクをベースとしていることがよく伝わってくる。ただ車体が細身で軽量であるために、取り回しのやり難さは感じられない。

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セルスタートボタンを押しスーパークアドロVツインエンジンを目覚めさせる。アイドリングでは太い低音を奏で、実に心地よいサウンドが耳に入ってくる。

ギアを1速に入れて発進する。実にスムーズだ。以前のドゥカティ水冷ツインエンジンだと、気温が高い夏場では3000回転以下で若干神経質な面が感じられるものもあったのだが、ストリートファイターV2では低回転域からしっかりとトルクがあり扱いやすい。その分渋滞路のような場面でもストレスがない。

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低中回転域でのパワー感、トルクの出方がスロットルワークに対してリニアに応えてくれることもあり、クルマの流れが良い市街地では水を得た魚のように縦横無尽に走り回ることができる。気持ちが良くとも5~6000回転で抑えるように心がけなければ、あっという間に高速域に足を踏み入れてしまう。なんとも贅沢な悩みだ。

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高速道路にステージを変える。前方がオールクリアなことを確認し、スロットルを大胆にひねるとパニガーレV2直系のスーパークアドロVツインエンジンが咆哮を上げ、怒涛の加速をもたらす。トラクションコントロールの性能も良く、リアが大きくスライドしてしまうこともフロントが浮き上がって竿立ちになるということも無い。

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フロントマスクの防風効果は高いものの、カウルレスモデルであるため、長時間ハイスピードを出し続けるというよりは、加減速を楽しむというキャラクターになっている。どこまでもバンクさせられるかのような気持ちにさせるバランスの高さから、ワインディングも爽快に走ることができる。バーハンドルモデルとはいえライディングポジションは前傾姿勢であることもあり、シートの前の方に座ってしまいがちだが、心持ち後ろに座る様に意識しつつ、上体の力を抜くようにしておけば、スムーズに走らせることができる。

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シフトの入り方、ブレーキタッチ、加減速時の足まわりの動き、すべてにおいて、カチッとしたフィーリングであり、気分よくスポーツライディングを楽しむことができる。とはいえドゥカティのスポーツモデルだ。イージーであることはない。必要最低限のスキルはあってしかるべきであるし、そうでなければ楽しめないかもしれない。それでもなお、乗りこなせるように自身を引き上げようと思える向上心を持つライダーならば、より一層深いドゥカティワールドを感じることができるだろう。それと合わせ、溢れ出るハイパフォーマンスを満喫するために是非ともサーキット走行も楽しんでもらいたい。

ドゥカティ ストリートファイターV2の詳細写真

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955ccスーパークアドロ90度Vツインエンジンを搭載。パニガーレV2のエンジンをストリート向けにデチューンしたもので、最高出力は153馬力、最大トルクは101.4Nmとなっている。
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φ43mmのショーワ製フルアジャスタブルBPF(ビッグ・ピストン・フロント)フォークに、ブレンボ製4ピストンM4.32モノブロックキャリパーをラジアルマウント。タイヤはピレリ製ディアブロ・ロッソ4が標準となっている。
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”ジョーカー”の不敵な笑みを連想させるデザインとされたV字型のDLR(デイタイム・ランニング・ライト)を備えたフロントマスク。ヘッドライトは低い位置にセットされており、エアインテークを備えたダブルレイヤー・フェアリングの一部とされている。
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メーターディスプレイは4.3インチTFTフルカラー液晶を採用。速度や回転数などの計器類だけでなく、トラクションコントロールやエンジンブレーキパワーなどの車両のセッティング状況も分かりやすかった。
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スイングアームはアルミ製の片持ちタイプで、リアタイヤサイズは180/60ZR17。6軸IMUセンサーを用いた電子制御システムを介し、スライドおよびウイリー、ABSなどをコントロールする。
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車体下部に備えられたサイレンサー。エキゾーストパイプはシート下でとぐろを巻くようにセットしており、パイプ長を稼ぐことと、マスの集中化を上手く両立させている。排気音も良い。
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前方から後方へ貫通させたウイング形状のシートカウルに、LEDテールランプがインサートされている。サーキット走行も想定し、ウインカーステーを兼ねたライセンスプレートステーも脱着可能となっている。
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モノコックフレームと片持ちスイングアームを、リンクを介してセットされたザックス製フルアジャスタブルリアモノショック。ストリートではプリロードを一番緩めて走らせると、ちょうどよかった。
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後方高くにセットされたステップ。膝の曲がりはややきついが、その分ステップ入力がしやすい印象。ヒールプレートも体重を預けやすい。6速ギアで、ドゥカティクイックシフトはアップ/ダウンに対応する。
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パニガーレV2と比べて、幅が広く厚手なものに変更されたシート。高さは845mmで、パニガーレV2よりも5mm引き上げられている。やや後ろに座ることを意識すると、車体を扱いやすいだろう。
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バーハンドルは幅が広めで、押さえつけやすい。ただその分腕に力が入らないように注意。左側のスイッチボックスでライディングモード切替や、各種セッティングの変更を行うことができる。
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燃料タンク容量は17リットルと十分。スリムな形状なので両足で挟み込みやすい。ボディカラーは発表時にはレッドのみの設定だったが、マットメタリックグリーンのストーム・グリーンが追加された。
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ハンドルの切れ角はこの手のモデルにしては多い方に思えた。ステアリングダンパーが標準で装備される他、フロントフォークトップで減衰量の調整が可能となっている。

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