VIRGIN DUCATI | ドゥカティのデザートXを試乗インプレッション! 開拓者精神を抱き、新たな道へテープカット 試乗インプレッション

ドゥカティのデザートXを試乗インプレッション! 開拓者精神を抱き、新たな道へテープカット

  • 掲載日/2022年10月14日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男 
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DUCATI DesertX

ドゥカティ初の本格オフモデル
完成度に世界が注目

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近年ドゥカティがネット配信で行っている新型モデルのアンベールイベント『ドゥカティ・ワールド・プレミア』。昨年開催されたイベントで2022年モデルの大トリとされ、”Dream Wilder”というキャッチフレーズを受けて登場したのが今回紹介するデザートXだ。

ドゥカティ初となる本格オフロードモデルであり、ルックスだけでなく導入されるテクノロジー、そして走りの面から考えてもチャレンジングな一台となっていることから、発表後瞬く間に世界中のライダーから多大な注目を浴びることとなった今最もホットなモーターサイクルと言える。

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我々の住む日本でも、つい先日発売が開始されたので、これから見かける機会も増えて行くことだろう。そのドゥカティ渾身の新型オフロードモデル、デザートXに実際に試乗しインプレッションを行っていく。

ドゥカティ デザートXの特徴

アドベンチャーセグメントの中で、
ビッグオフローダーというライン

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デザートXは2019年のEICMA(ミラノショー)において、コンセプトモデルとして発表されていたモデルを市販化したものだが、特徴的なデュアルヘッドライトを据えたラリーテイスト満点のフロントフェアリングをはじめとしたスタイリングこそコンセプトモデルのイメージを踏襲しているものの、良く見てみると空冷だったエンジンは実車では水冷デスモドロミック11°(イレブンディグリー)テスタストレッタが搭載され、サイドマウントとされていたリアショックはセンターマウントとされるなど、大幅に手が加えられた上で満を持して登場したのだ。

アドベンチャーモデルと表現されることもあるデザートXだが、フロント21インチ、リア18インチというタイヤサイズのセレクトからも分かるように、本格的な未舗装路の走行を想定したオフロードモデルだと考えた方が良いかもしれない。かといってオフロードだけを楽しむのではなく、オンロードでも気持ちの良い走りを楽しむことができるパッケージングだ。例えばムルティストラーダがスーパースポーツ並の運動性能を誇るにも関わらず、未舗装路においても高い走破性を実現しているのに対し、オフロードスポーツとして素晴らしい実力を持ちながら、そのステージまで続く道やストリートをはじめとした普段使いにおいてもエキサイティングかつ快適に走ることができると言ったキャラクターになっているのだ。

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世界的に見てもビッグオフロードモデルの人気は高く、その影響を受けて多くのメーカーが参入、マーケットは拡大してきている。その中において、ドゥカティのフロンティアスピリットを具現化したとも言えるデザートX、私は大きな期待を持ち、実車に触れ始めた。

ドゥカティ デザートXの試乗インプレッション

美しくスポーティ、そして手強い
ドゥカティの流儀に沿った出来栄え

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乗る前の第一印象。想像していたよりもずっと大柄だ。いや、大柄という言葉は的確ではないかもしれない。車両の横に立った時にシートが高いと感じたのだ。それもそのはずスペックシートを確認すると875mmとある。ただオフロード走行を見据えて、サスペンションストロークがフロント230mm、リア220mmと大きくされていることもあり、一度跨ってしまえばサスペンションが沈み込み、身長178cm体重70kgの私の場合、踵までとは言えないが両足とも接地した。まあオフロードモデルに足つき性を求めるのは野暮な話かもしれない。

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気を取り直してエンジンを始動し走り出す。スポーツ、ツーリング、アーバン、ウエットとラリー、エンデューロの合計6パターンのライディングモードがプリセットされているのだが、その違いが明確だ。スポーツ、ツーリング、ラリーでは110馬力、アーバンとウェットは95馬力、エンデューロは75馬力の最高出力とされており、さらにスロットルワークに対するレスポンスやトラクションコントロールやABSの介入ポイントが変更されることもあり、1台の中に、様々な性格が詰まっているという印象を受けた。

最初は最もスパルタンなスポーツやツーリングモードで走っていたのだが、ストリートでクルマの流れに乗って走るのならばアーバンモードが気軽だとすぐに気づいた。テスト車両の返却時は土砂降りの中を走行しなければならなかったのだが、その時セットしたウェットモードの感触も良かったことを付け加えておく。

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フロント21、リア18インチというタイヤセットなのだが、ワインディングでもかなりイケる。多くの大径タイヤモデルに見られるフロント切り返し時の、ヨッコイショ感覚が無く、自然な切り返しを楽しめるのだ。さらにロングストロークサスペンションの動きが良く、コーナーリング中はギュッと粘り、コーナーを抜けるとスッと車体が立ち上がる。この感覚はオフロードバイクとオンロードスポーツ両方の良いところを上手く重ねてきた感触で、さすがはドゥカティと思える部分だった。

クローズドコース的な場所には持ち込めなかったが、フラットダート程度の簡単なオフロードにも足を踏み入れてみた。すると驚くほどスムーズにパスできた。ドゥカティが自信をもってリリースをしたオフロードモデルなのだから当たり前と言われればそうかもしれないが、それにしても乾燥状態で202キロという軽量な車重によるメリットや、シャシーと足まわりのセッティングバランスの良さがしっかりと伝わってきたのだ。ロードクリアランスも十分に持たされており、オンロード、オフロード問わず段差を見つけると無意味に乗り越えたい気持ちにさせられる。

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クイックシフター操作時のショックや発進する際のクラッチミート時のスロットルワークなどに、少々ブラッシュアップをしたい面も感じられたものの、総じて高い点数をつけることができた。しかもオフロードモデルではあるが、オンロードを走らせることがとても楽しく気持ち良いので、テスト期間中、ちょっとソコまでの足としても重宝した。

デザートXの購入を考えている方から、ムルティストラーダと比較し悩んだ際にはどうすれば良いかと聞かれたら、私なら毎日乗る用途があるなら軽量で気軽に付き合えるデザートXを選び、ロングツーリング性能やリッチな走りを求めるならばムルティストラーダに軍配を挙げると答える。スクランブラー・ドゥカティのモデル陣はどうなるのかという意見に対しては、あれは世界観を楽しむものだと答えると語弊を招くだろうが、サイドマウントのサスペンションやフレームなどシャシーの事を考えても本格的なオフロードモデルに仕立て上げるのは至難の業なので、やはり、そもそものキャラクターや目指す方向性が異なるため比べるのは難しいと返答する。

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デザートXは手強い。最近のドゥカティはどれもフレンドリーという表現すらできるほど乗りやすくなってきていたので忘れかけていたが、ドゥカティの本質とも言える情熱的なスポーツモデルという部分をしっかりと感じられたデザートXは、最新モデルでありながらも、懐かしさを覚えるものとなっていた。

ドゥカティ デザートXの詳細写真

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専用トレリスフレームに、排気量937ccのテスタストレッタ11°Lツインエンジンを搭載。スーパースポーツ950、ハイパーモタード950、ムルティストラーダV2などにも採用されてきたエンジンの最新バージョンとなっている。
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φ46mmKYB製フルアジャスタブル倒立フォークに、90/90-21サイズのタイヤをセット。クロスワイヤースポークホイールを使用しチューブレスとなる。ブレンボ製ブレーキキャリパーはタッチが良くコントロールもしやすい。
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アイコニックなデュアルヘッドライトをセットしたフロントマスク。ラリーテイストを感じさせるそり立つスクリーンも特徴的だ。スタリングに関しては、80年代にパリダカで戦った往年の名車カジバ・エレファントを彷彿させると言われることもある。
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フロント230mm、リア220mmという豊かなサスペンションストロークを持つデザートX。ロードクリアランスは250mmとされており、段差なども楽にパスすることができる。エンジン下部を守るアンダーガードは標準で装備されている。
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シート高875mmは高い数値だが前方が細くシェイプされていることと、自身の体重で沈むので足つきは気にならなかった。クッションも十分でロングツーリングも良いだろう。タンデムもテストしたところパッセンジャーからも好評だった。
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縦置きスタイルの5インチTFTカラーディスプレイを採用。もはやスマートフォンをセットしても良いのではと思わせる。視認性が良く、インフォメーションも伝わりやすかった。サイド部にUSBソケットが備わっていることが分かる。
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ライディングモードの切り替えやディスプレイのインフォメーション変更、クルーズコントロールセットなど、左側のスイッチボックスに多くの機能を集約している。難しいことはなく、直感的に使うことができた。
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シート後端にセットされたグラブバーや、リアフェンダーにインサートされたLEDテールランプなど独特なデザインで纏められたテールセクション。後方から見た際も、デザートXだとすぐに分かる印象的な物となっている。
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オフロードブーツを履き本格的な未舗装路スポーツライディングでも対応できるよう、グリップの高いワイドステップが採用されている。スタンディングポジションも取りやすかった。クイックシフターはアップ/ダウンどちらも作動する。
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コンセプトモデルではサイドマウントとされていたリアショックは、市販モデルではセンターマウントに変更。KYB製のフルアジャスタブルモノショックは動きが良くリアの動きも良く伝わってくる。プリロード調整はシートを外した方がやりやすい。
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大胆に肉抜きされたアルミ製両持ちスイングアームに、150/70R18サイズのタイヤをセットする。標準タイヤはピレリ製スコーピオン・ラリーでオフロードでのグリップ力だけでなく、オンロードでの感触も定評がある。
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21リットルと大容量を誇る燃料タンクを採用しており、ロングライドも余裕でこなすことができる。ただ乾燥重量が202キロと軽量なこともあり、燃料の満タンとエンプティ状態では、走りの印象はかなり変わった。
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カギを使ってのシートオープンはライダー側だけとなっている。コンパクトなリチウムイオンバッテリーを採用しているが、シート下にはさほど余裕は無い。

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