パニガーレ V4Sの詳細写真
これまでドゥカティは、シリンダー挟み角が90度のエンジンのことを「L」と称していた。パニガーレV4Sも同じ90度ではあるが、エンジンの搭載角度が後方に大きく傾けられ、真横から見ると「V」に見えるため呼称が変わったのだ。
「フロントフレーム」と呼ばれる新設計のアルミ鋳造フレーム。前後のシリンダーに1ヶ所ずつ支持マウントが設けられ、エンジン自体も剛性メンバーにしながらねじれ剛性と横剛性を最適化。フレームの単体重量は4kgに抑えられている。
フロントカウルには大型エアインテークが備えられ、その中にLEDヘッドライトを装備。本国仕様はエアインテーク上部を縁どるデイタイム・ランニングライトとメインヘッドライトが別々に機能するが、日本仕様は変更される予定だ。
5インチのTFT高解像度フルカラーディスプレイを標準装備。画面右側には視認性の高いバーチャル・タコメーターが映し出され、シフトライトの点灯や色の変化の効果も手伝って、走行中の回転数確認を容易にしてくれている。
ライディングモード(STREET/SPORT/RACE)の切り換えやトラクションコントロールなどの調整はハンドル左側のスイッチボックスに備えられたボタンで即座に変更が可能だ。メーター内のグラフィックと連動し、直感的な操作が行える。
サイドカウルはエアアウトレットとして機能するインナーカウルとそれをカバーするメインカウルの2枚で構成される「デュアル・レイヤー・フェアリング」を採用。張り出しが最小限に抑えられ、4気筒であることを感じさせない。
シャープな形状のシートカウルはエアロダイナミクスと軽量化を両立させるため、空洞になるようにデザインされている。また、その内部はウイング型のLEDライトユニットが内蔵され、カウルを取り外した時のたたずまいも考慮されている。
V4Sのサスペンションは前後とものオーリンズ製の電子制御式。ライディングモードや加減速Gに応じて減衰力が任意に変化する他、好みに合わせて固定することも可能。リアサスペンション上部は後部シリンダーにマウントされる。
標準装着タイヤはピレリ製スーパーディアブロコルサSP。リアには同社のスリックタイヤと同等の200/60-17というサイズが専用に開発され、ハンドリングに貢献。接地面積が拡大し、フルバンク時のグリップ力が向上している。
キャリパーもまた、このマシンのために開発されたブレンボ製のStylema(スティルマ)。従来のM50をベースに改良されたモノブロックキャリパーで、剛性を犠牲にすることなくコンパクト化と軽量化(片側でマイナス70g)に成功している。
新デザインの3本スポークホイールはマルケジーニ製の鍛造アルミニウム合金。リアブレーキのABSは選択したライディングモード(RACE)や任意のレベル設定(レベル1)によって介入を解除することが可能だ。
デスモセディチ・ストラダーレと呼ばれるV型4気筒エンジン。単体重量は64.9kgで、2気筒のスーパー・クアドロエンジンに対する重量増はわずか2.2kgだ。工場には専用のラインが設けられ、ほとんどが手作業で組まれている。